研究課題/領域番号 |
23617020
|
研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
四童子 好廣 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00111518)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | オートファジー / 肝癌 / 非環式レチノイド / ゲラニルゲラノイン酸 / オートファゴソーム / オートリソソーム |
研究概要 |
本研究計画は非環式レチノイドの1つであるゲラニルゲラノイン酸 (GGA) による肝癌予防における肝癌細胞の細胞死誘導のメカニズムを細胞および分子レベルで解析しようとするものである。平成23年度は、当初の計画通りオートファジー観察用肝癌細胞の作製とその解析に重点を置き、GGAが肝癌細胞に細胞死を誘導する際に、オートファジーがどのように関与するかを解析した。 その結果、1.ヒト肝癌由来細胞株HuH-7の東京医科歯科大学・水島昇教授より供与されたpEGFP-mLC3をトランスフェクトし、EGFP-LC3遺伝子を構成的に発現するクローン(HuH-7/GFP-LC3)を得た。2. HuH-7/GFP-LC3細胞は、GGA(10 μM)処理に応答して30分から1時間後にGFPのpunctaを形成することをLive-cell imaging により見いだした。3. GFPのpunctaはGGA処理後、24時間後まで蓄積し、細胞が死ぬまで減少することはなかった。4. HuH-7細胞を用いて、GGA処理によるLC3-I (cytosol-type) からLC3-II (isolation membrane & autophagosome-type) への転換を、LC3抗体を用いたwestern blotting法により解析すると、GGA処理後30分から1、2、4、6時間後までLC3-IIは増加し、24時間後までLC3-IIの蓄積が観察された。5. Live-cell imagingによりオートファゴソームとリソソームの融合を解析できる新しいプローブtandem-fluorescent mRFP-GFP-LC3の発現クローン (HuH-7/RFP-GFP-LC3) を、HuH-7細胞を用いて作製した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、平成23年度にオートファジー観察用肝癌細胞のクローンの作製とその解析に重点を置くと記載したが、「実績の概要」に記したように2種類のクローンHuH-7/GFP-LC3とHuH-7/RFP-GFP-LC3を樹立することができたことは、本研究計画にとって非常に大きな位置を占める。これらの細胞を用いてGGA処理の影響を観察したところ、GFP punctaの形成や、リソソームとの融合障害などが観察され、仮説に沿う結果が得られた。 しかし、当初予定していたミトコンドリア標識細胞やRFP-Rab7の構成的発現細胞の樹立は未完成のままであった。
|
今後の研究の推進方策 |
申請時の研究計画に大きな変更はないが、平成23年度に計画していたにもかかわらず遂行できなかったミトコンドリア標識細胞の作製をHuH-7/GFP-LC3細胞にpDsRed2-Mitoを用いて行う予定である。平成24年度の中心的な計画は、当初の予定通り、オートファゴソームとリソソームの融合にGGA処理がどのように関与するのかを分子レベルで明らかにする予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の計画は、当初の計画以外に前年度に遂行できなかった2種類の細胞クローンの作製を行うことを加算しても、その大部分がplasmid DNAの入手やsiRNAなどの合成、western blottingのための抗体、RT-qPCRのための酵素やプライマーの作製などのためにほとんどの研究費を使用する予定である。その他、研究成果の学会発表のための旅費や論文投稿の際の経費(native checkや投稿料)なども使用予定である。
|