研究課題/領域番号 |
23617021
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
小山田 正人 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (30183255)
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研究分担者 |
武部 久美子 藤女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60439495)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | DOHaD / GLUT / コネキシン / ギャップ結合 / 栄養 / エピジェネティクス / 高脂肪食 / グルコース輸送 |
研究概要 |
本研究は、DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease:胎生期から乳児期までの栄養状態を含めた環境が種々の成人期慢性疾患の発症基盤となるという概念)による疾患発生機構の一つとして、母体栄養による胎盤機能のエピジェネティック制御が重要な役割を果たすという仮説を立て、その検証のため、マウスの母体の栄養状態を変化させ条件で、胎盤のグルコース輸送系であるグルコーストランスポーター (GLUT) 及びギャップ結合タンパク質コネキシンの発現変化を検索することを目的とする。 本年度の成果の第1は、マウス胎盤におけるGLUT1の免疫組織学的染色の条件を確立したことである。妊娠15.5日の胎盤のsyncytiotrophoblastの細胞膜にGLUT1の発現を確認した。今後実施を計画している母体の栄養状態を変化(高脂肪食や栄養制限)させた状態での胎盤でのGLUT1の発現と比較するための基盤が成立した。 成果の第2は、本研究の対象であるコネキシンの発現調節メカニズムについての最新の情報をまとめたreview article (Regulation of connexin expression by transcription factors and epigenetic mechanisms) を執筆し、Biochim. Biophys. Acta Biomembranesにアクセプトされ、オンラインで世界中からアクセス可能にしたことである (doi: 10.1016/j.bbamem.2011.12.031)。本論文は、153編の論文を引用し、コネキシンのエピジェネティック制御を含めた発現調節機構について現時点での知識を総括した。コネキシンの発現調節機構の全貌を把握することが可能となり、本研究の推進に役立つという意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
母体の栄養状態を変化(高脂肪食や栄養制限)させた状態での解析を開始する事ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
母親の高脂肪食摂取による胎仔の体重増加を起こすマウスモデルの作成と、免疫組織化学的染色を用いた胎盤におけるGLUT 及びコネキシンの発現変化の解析を行う。 高脂肪食の母親への投与により過体重胎仔を誘導するモデルとしては、Jones ら(FASEB J 23:271, 2009)の方法を用いる。具体的には、8 週齢のC57/BL6 雌マウスに高脂肪 (HF) 食(タンパク質 16%:脂質 32%:炭水化物 52%)を8 週間自由摂取させた後、HF 食を与え続けながら交配させ、膣栓確認時を妊娠0.5 日 (E0.5)として、妊娠18.5日 (E18.5)の胎仔の体重計測、母体の血液採取及び胎盤組織のサンプリングを行う。尚、対照群として、コントロール食(タンパク質 16%:脂質 11%:炭水化物 73%)自由摂取させた母親を用いる。 免疫組織学的染色によるコネキシン26 (Cx26)の発現解析は、これまで申請者らが行った報告(Suzuki, Oyamada et al. Histochem Cell Biol, 2009) に従って行う。栄養修飾によるGLUT-1 及びCx26 の発現の変化は、形態計測によって行い、単位面積当たりのGLUT-1 及びCx26 陽性の蛍光強度の総和を対照群のそれと比較する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費使用の主体は、実験動物の購入、維持、高脂肪食の購入、免疫組織学的染色のための試薬購入に充てる。
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