研究課題/領域番号 |
23617021
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
小山田 正人 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (30183255)
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研究分担者 |
武部 久美子 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (60439495)
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キーワード | DOHaD / コネキシン |
研究概要 |
DOHaDとは、胎芽期から出生後の発達期における栄養を含む種々の環境因子が、成長後の健康や生活習慣病をはじめとする非感染性の慢性疾患 (non-communicable disease, NCD) の発症に影響を及ぼすという概念である。現在の日本は、2500g未満の低出生体重児が全出生の約1割に達しており、さらに20歳代及び30歳代の女性のやせも多く、今後DOHaDに関連するNCDの増加が危惧されている状況である。本研究では、DOHaDでの疾患発生機構として、母体栄養による胎盤機能のエピジェネティック制御が重要で、その制御の対象として、ギャップ結合タンパク質コネキシンの発現変化が生じているという仮説を立てた。 平成25年度は、コネキシンの発現調節メカニズムについて、転写因子とエピジェネティック機構を対象に英文総説を公開した (Regulation of connexin expression by transcription factors and epigenetic mechanisms, Biochim. Biophys Acta 1828:118-133, 2013)。さらに、多能性幹細胞であるES細胞とiPS細胞でのコネキシン発現と細胞間コミュニケーションについての総説 (Connexin expression and gap-junctional communication in ES cells and iPS cells. Frontiers in Pharmacology, 4: 1-8, 2013)をオープンアクセス論文として発表し、この論文には、これまで約1000のアクセスがあった。また、日本人女子大学生を対象としたDOHaDの認識についてのアンケート調査研究について、第8回世界DOHaD会議(2013年11月、シンガポール)で発表を行った。この発表をきっかけとして、DOHaDに関するニュージーランドのオークランド大学との共同研究を開始することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究において、当初は実験モデルとして、Jonesらの報告 (FASEB J. 23:271, 2009)を基に実施する事を計画していた。しかし、本研究採択後、過栄養について異なる実験モデルを用いた複数の研究が報告されたため、本研究で用いる動物モデルの検討に時間を要し、動物実験が開始できず、遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
動物モデルについての検討が最近になり完了したので、動物実験およびエピジェネティクス解析を外部委託を含めて実施し、本年度中に実験結果をまとめる方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究において当初は、実験モデルとして、Jonesらの報告 [FASEB J. 23: 271 (2009)]を基に行う事を計画していたが、本研究が採択された後、過栄養の条件について異なる動物モデルを用いた複数の論文が報告されたため、本研究で用いる動物モデルの検討に時間を要した。そのため、動物実験が開始できず、未使用額が発生した。 動物モデルについての検討は最近になって完了した。未使用額の大部分は、動物モデルによる実験(動物の購入と飼育費用、過栄養実験のための飼料代及びエピジェネティクス解析のための研究委託費)の経費に充てる計画である。残りの金額は結果の解析及び論文投稿用の経費として使用したい。
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