研究実績の概要 |
DOHaDとは、胎芽期から出生後の発達期(2歳位まで)における栄養を含む種々の環境因子が、成人期の健康や生活習慣病をはじめとする非感染性慢性疾患 (non-commucable disease, NCD)の発症に影響を及ぼすという仮説である。本研究では、DOHaDでの疾患発生機構として、母体栄養による胎盤機能のエピジェネッティク制御が重要で、その制御対象として、ギャップ結合タンパク質コネキシンがエピジェネッティク制御されるという仮説を立てた。 研究実績としては、ギャップ結合タンパク質コネキシンのエピジェネッティク制御を含めた発現調節機構についての論文(BBA 1828:118-133, 2013, オープンアクセス)を公開し、すでに被引用数は14に達している。また、多能性幹細胞であるES細胞とiPS細胞でのコネキシン発現についての論文 (Front Pharmacol 4:1-8, 2013, オープンアクセス)を発表し、その被引用数は6である。また、コネキシン以外に胎盤での栄養輸送に係る分子として、グルコース輸送系であるグルコーストランスポーター1 (GLUT-1)のマウス胎盤でのsyncytiotrophoblastにおける局在を免疫組織化学的に確認した。さらに、DOHaDに関する日本の現状(2500g未満の低出生体重児が全出生の約1割に達し、20~30歳代女性の痩せが多い)は、今後DOHaDに関連するNCDが増加する危険性を示しており、DOHaD仮説を社会に普及することの重要性を認識した。第8回世界DOHaD会議 (2013年11月、シンガポール)への参加をきっかけに、ニュージーランド、オークランド大学LENScienceグループと、The Public Understanding of DOHaD Project を2014年3月より開始した。
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