研究課題/領域番号 |
23617022
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研究機関 | 天使大学 |
研究代表者 |
鈴木 純子 天使大学, 看護栄養学部, 准教授 (20326614)
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研究分担者 |
斉藤 昌之 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (80036441)
森谷 きよし 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (40000939)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 栄養学 / 脂質代謝 / インスリン感受性 / 生活習慣病 / 健康科学 |
研究概要 |
[方法]生活習慣病患者を対象としCD36遺伝子型をPCR/RFLPにて解析し、日本人既知変異5種のうち、exson4領域における変異(Pro90Ser)についてスクリーニングを行った。対象者の糖質・脂質代謝パラメーター、体組成の評価、栄養食事摂取量調査も行い、結果をCD36欠損群と非欠損群の2群に分けて解析を行った。[結果]スクリーニングの結果、対象者86名のうちCD36欠損者は11名(男性/女性 =5/6、71.1±6.9歳)、非欠損者は75名(男性/女性 =38/37、65.9±11.1歳)であった。遺伝子頻度は7.0%であり、一般住民を対象とした先行研究と比較すると有意ではないが高率であった。[意義・重要性]結果よりCD36欠損は生活習慣病のリスクファクターである可能性が考えられた。また、TGが欠損群において有意に高値であった。CD36欠損群ではCD36の発現量減少にともない遊離脂肪酸の血中増加、LPL活性低下が考えられ、TG richリポ蛋白の滞留時間が長くなった可能性が考えられた。CD36欠損により、リポ蛋白の分解が遅延することによりレムナントやsmall dence LDLなどの異常なリポ蛋白を増加させる可能性があり、CD36欠損と異常リポ蛋白の関連についてはヒトでは明らかになってはいないため、引き続き検討していくことは意義深い。先行研究ではCD36欠損とインスリン抵抗性について相反する報告があったが、本研究の結果では関連が見られなかった。また、今回は対象とした症例が限られているため、CD36の欠損が生活習慣病の発症、あるいはTGの上昇にどの程度寄与しているかは不明な点が多い。今後は、対象をさらに増やし検討を行う。また、CD36欠損群と非欠損群に低脂質食介入試験を行い、より詳細な検討を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CD36欠損のスクリーニングは対象を200名程度と設定しているが、3月現在においては100名程度のスクリーニングを終了している。介入研究の対象を欠損者で20名を想定しているので、さらに対象を拡大して行う必要がある。対象の確保が遅延した理由としては、対象者に説明と同意を得てから採血と調査を行う過程が、想定していたよりも時間が多く必要であったためである。対象者が確保できていないため、低脂質食を継続的に4か月間摂取した場合のCD36欠損者のインスリン感受性をはじめとする代謝変化と筋肉と肝臓の細胞内脂質含量の関係を検討することは行えていない。しかし、スクリーニングと同時に得た日常診療における検査結果と食事調査の結果から、CD36欠損と代謝変化についてはある程度考察を行うことが可能な状況である。 今後はフィールドの増加を図り対象者の確保を行う。対象者が確保できた時点で介入試験を開始することにより、遅れを取り戻すことが可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度に予定していた対象者の確保が、予定の200名に達していないことが現在の課題である。今後の研究の推進方法として、対象フィールドの増加を計画している。対象フィールドを現在の2か所から4か所に増加し、遺伝子スクリーニングをH23年度に引き続き行う。このことにより100名以上の対象者を確保することが可能と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用の予算が発生した事由として、対象者の確保が予定に達していないことがある。このことにより解析に使用する試薬等の購入が小額に抑制され、予算を次年度使用にまわすこととなった。H24年度はH23年度の計画の一部を持ち越し行う。遺伝子スクリーニングをH23年度に引き続き行い、CD36欠損者の20名以上の確保が図れた段階で、介入試験を開始する計画である。予算としてはH23年度の残額とH24年度に使用予定の予算の両者を使用する計画である。
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