東京都心部在住の85歳以上高齢者(超高齢者)コホート542名を対象に、食習慣と健康状態について3年間の前向き観察研究を行った。第1次基礎調査を完了した超高齢者542名のうち、3年後の第2次健康調査を完了したのは387名(平均年齢90.6歳)で、参加率は71.4%であった。第1次基礎調査と第2次健康調査の3年間の比較では、日常生活活動度(ADL)、認知機能(MMSE)、BMIのすべてにおいて、第2次健康調査で有意に低下していた。追跡期間の3年間で、ADL低下などが原因で施設に入所された方が42名あった。電話による予後調査では、転居先不明や電話不通などの理由で追跡不能の19名を除く523名(96.5%)の転帰を確認できた。3年間に91名の死亡が確認され、最も多い死因は、突然死を含む心血管障害(29名)、2番目は悪性腫瘍(24名)であった。 3年間の総括として、認知機能障害、骨折、施設入所の新規発症をアウトカムに発症リスクに関連する要因を検討した。認知機能障害の新規発症リスクには、MMSEが低い(OR 6.7)、ADL障害がある(OR 2.6)、歩行(TUG)が遅い(OR 1.9)が挙げられた。骨折の新規発症リスクには、女性(OR 22.3)、MMSEが低い(OR 3.1)、脳卒中の既往(OR 5.0)、骨折の既往(OR 3.1)、HbA1c高値(OR 1.5)が挙げられた。新規入所のリスクには、女性(OR 7.1)、歩行(TUG)が遅い(OR 3.2)が挙げられた。 また、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)の超高齢者における妥当性を検証するために、秤量法による食事記録とBDHQを比較した。その結果、特定の栄養素や食品群に関しては、BDHQは超高齢者の栄養疫学研究に十分活用できるツールであると考えられた。ただし、BDHQの高齢者向けアルゴリズムはまだ確定しておらず、今後変更する可能性はある。
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