研究課題/領域番号 |
23617025
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研究機関 | 女子栄養大学 |
研究代表者 |
川端 輝江 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (80190932)
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研究分担者 |
仲井 邦彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291336)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ω3多価不飽和脂肪酸 / 妊産婦栄養 / 出生コホート / 神経行動学的発達 |
研究概要 |
胎児及び新生児の成長と発達に対して、ω3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)は重要な栄養素の一つである。妊婦の魚摂取は体内ω3PUFAを高め、これらは、胎盤を介して児に移行することが期待されている。そこで、母親の体内PUFA割合が、胎児および新生児の身体的成長と神経行動学的な発達に及ぼす影響を、母児の協力を得て出生コホート調査の方法により検証することとした。母親から児へのPUFA移行は、母体血及び臍帯血中の不飽和脂肪酸分析により推定する。児の身体的成長は胎児の超音波計測および出生体重、身長、頭囲により、神経行動学的発達は新生児行動学的評価及びベイリー式発達検査により実施する。 本研究は、環境省が平成23年1月より開始した「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の宮城ユニットセンターと連携したものである。対象者は、魚摂取量が多いと考えられる宮城県南三陸沿岸部在住の妊婦及びその児とした。平成23年3月の東日本大震災の罹災により、調査開始が遅れたが(当初7月開始のところ、12月開始)、研究協力者の登録は順調に推移してきている。インフォームドコンセントでは説明数に対して概ね88%以上の登録を得ており、目標とする対象者数(500検体)の確保は可能と考えている。 現在、妊娠中期で採血し、母体血赤血球中PUFA分析を進めつつある。対象妊婦が出産時期を迎える平成24年6月以降は、臍帯血のPUFA分析と児の成長・発達検査を進める予定である。妊娠期におけるPUFAの栄養学的な意義を明確にできれば、妊婦の魚介類摂取についての栄養教育に、研究結果を反映させることが可能と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象地区が宮城県南三陸沿岸部であり、昨年3月の東日本大震災により、コホートへの対象者登録開始が約半年間遅れた。しかし、震災以降の困難な状況の中、我々は出生コホートの確立を完了させ、赤血球中PUFA分析方法の精度管理も実施した。登録開始以降、予定してきた研究はおおむね順調に進みつつあり、現在、継続的に母体血の赤血球PUFA分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標とするサンプルサイズは500検体であり、次年度以降も継続して、妊婦の新規登録、母体血のPUFA分析を継続する。さらに、平成24年6月以降は、臍帯血のPUFA分析に加え、児の成長・発達検査を進める予定である。児の身体的な成長は、妊娠期間中の超音波計測による胎児成長、出生体重、身長、頭囲、ponderal indexなどから評価する。神経行動学的な発達は、生後3日目に実施するブラゼルトン新生児行動評価および生後6ヶ月においてベイリー式発達検査により計測する。
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次年度の研究費の使用計画 |
母体血及び臍帯血のPUFA分析に必要な消耗品及び人件費、研究打ち合わせのための交通・宿泊費等の項目について使用予定である。
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