宮城県沿岸部に在住する妊娠女性523 名の母体血と臍帯血赤血球中脂肪酸分析を行い、n-6 系多価不飽和脂肪酸(PUFA) であるアラキドン酸(ARA)とn-3 系PUFA であるドコサヘキサエン酸(DHA)の、母から児への移行について検討を行った。その結果、臍帯血PUFA は母体血PUFAを反映し、臍帯血赤血球中PUFA レベルの決定要因として、胎盤を介した母から児への移行が重要であることが示された。さらに、妊娠期間中の経時的な観察から、母体血ARA は妊娠末期に低下したが、DHAの変化はほとんどみられず、母の体内DHA は、妊娠末期に高まる児のDHAの需要を満たしていた可能性が示唆された。
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