研究課題
母子の絆の深まりや、愛情や信頼の感情の育みが、生涯を通じて健全な食生活を送るための本質的な基盤となる。そこで、間脳の視床下部の養育行動中枢や愛着行動中枢、不安情動制御に関わると考えられる脳領域に注目して、神経発生や発達、機能の発揮に際して、脂質栄養素がおよぼす影響について研究を進めてきた。ヒト乳がん細胞株に対して、脂溶性ビタミンEのなかでもトコトリエノール(T3)が、エストロゲン受容体β(ERβ)のリガンドとして核移行を促して作用するという報告に基づいて、脳内においても同様のシグナリングに関わる可能性を検討した。いわゆる核内受容体として機能するERβについて、緑色蛍光タンパク質標識した受容体の発現系を用いて、リガンド添加後の細胞内、細胞核内での挙動を解析したが、用いたγおよびδT3がリガンドとして作用することを示唆する結果はこれまでのところ得られていない。ERβ の組織細胞化学的解析においては入手可能な市販抗体の特異性が問題であった。ERβに対する特異的なcRNAプローブを設計して、in situ ハイブリダイゼーションによるmRNAレベルの検出を併用して検討を進めた。脳スライス培養系を用いたT3添加後の細胞の形態変化を、ERβ発現ニューロンが豊富な脳領域である小脳、視床下部、中脳背側縫線核を対象として解析をはじめた。出生直後のマウス小脳矢状断スライスを用いた培養系において、ERβ発現プルキンエ細胞の樹状突起形成に対するT3の濃度依存的な影響を、抗カルビンディン抗体による免疫染色像の画像解析によって検討中である。
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