研究課題
平成23~25年度に実施した研究は、主に蜜柑果皮成分ノビレチンやイカリソウ成分などの植物由来のフラボノイド化合物によるカテコールアミン(CA) 神経機能への影響についてであった。その結果として、1)培養ウシ副腎髄質細胞においてノビレチンは、それ自身でCA生合成や分泌反応を濃度及び時間依存的に促進した。このノビレチンのCA生合成やその律速酵素のチロシン水酸化酵素(TH)活性の促進効果は、外液Ca2+を除去すると見られなくなり、またcAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)やCa2+/calmodulin依存性プロテインキナーゼII (CaM kinase II)の阻害剤 (H-89及びKN-93)で一部抑制された。さらに、ノビレチンはTHのセリン残基(Ser19とSer40)のリン酸化を促進した。このことから、ノビレチンのCA生合成促進作用は、PKAやCaM kinase IIの活性化によるTHのSer19とSer40のリン酸化を介するものと思われた。一方、ノビレチンはACh刺激によるCA生合成や分泌反応及びTH活性を抑制した。以上の結果より、植物性フラボノイドであるノビレチンはそれ自身では、CA生合成や分泌を促進するが、ストレスなどにより引き起こされるACh刺激のCA生合成や分泌に対しては抑制することが判明した。最終年度(平成25年度)に実施したフラボノイド化合物のイカリソサイドAもACh刺激のCA生合成や分泌に対しては抑制することが判明した。今回の研究結果は、植物フラボノイド化合物の抗ストレス効果を示唆するものであり、今後、これらの機能性食品としての可能性が期待される。以上の結果を、第85、86及び87回日本薬理学会年会シンポジウム(各々2012年、2013年、2014年)及び第10回国際CAポジウム(2012年)、第37回国際生理学会(2013年)等にて発表した。
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