次年度の研究費の使用計画 |
次年度に計画している主な研究項目と研究経費は次のものである。1. 葉酸代謝系酵素(MTRR, MTHFR, MTR, TYMS等)の機能解析:引き続きがんにおけるMTRR遺伝子の作用機序およびDNAメチル化異常について検討を進める。また、MTRR遺伝子によって制御されるTYMSおよびMCM遺伝子については、cDNAを個別に過剰発現、あるいは翻訳制御等の方法でその機能的意義を明らかにする。さらに、MTRR遺伝子の機能阻害によるゲノム全体の低メチル化が、葉酸添加によって修正されるのか否かを明らかにする。葉酸代謝酵素活性の減弱と遺伝子多型との関与が示されているMTHFR遺伝子について、アミノ酸変化を伴う多型との間でDNAメチル化に及ぼす影響を評価するために、MTHFR蛋白質発現プラスミドを作成する。また、多型によるホモシステイン濃度との関与についても明らかにする。さらに、MTHFR、TYMSおよびMTRに対する特異抗体を作成し、葉酸代謝系酵素の遺伝子多型による蛋白質発現とDNAメチル化との関与を明らかにする予定である。2.葉酸代謝関連遺伝子の分子機構の解明:膵がん細胞株への葉酸添加は細胞増殖を促進するが、葉酸欠乏あるいは過剰な葉酸添加は逆に抑制する。一方、正常ヒト膵管上皮細胞株は、葉酸依存性でない知見を得ており、葉酸結合蛋白や葉酸受容体の両面から葉酸摂取の分子メカニズムの解明を行う。以上の研究計画に対して、主に(1)DNAのメチル化シトシン含量を測定するためのアイソトープ等の関連試薬、(2)MTHFR, TYMS, MTRに対する特異抗体による蛋白質解析のための関連試薬、(3)細胞培養関連試薬、およびこれらの研究により得られた成果公表のための関連学会等の参加費を研究予算に計上する。
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