葉酸は体内において葉酸代謝酵素によって代謝されるが、MTRRやMTHFRの代謝能力には遺伝子多型による個人差があるのではないかと考えられている。本研究では膵癌の易罹患性遺伝子として同定したMTRRと葉酸代謝経路で最も特徴づけられているMTHFRの遺伝子多型と癌に特徴的なゲノム全体の低メチル化との関わりを調べた。その結果、MTHFRの変異体では野生型と比較してMTHFR蛋白質及およびゲノム全体のメチル化の減少とホモシステイン値の上昇を示したが、MTRR変異体では明らかな差異は認められなかった。葉酸代謝経路におけるメチル化修飾を介する発癌機構にMTHFR遺伝子多型が関与していることが示唆された。
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