研究課題/領域番号 |
23617039
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
笠岡 宜代 (坪山 宜代) 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 栄養疫学研究部, 食事摂取基準研究室長 (70321891)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 肥満 / タウリン / ヒスチジン |
研究概要 |
マウスの栄養実験において認められた、肥満状態におけるタウリン欠乏状態がヒトにおいても認められるか否か検討した。人間ドックを受診したBMIが25kg/m2以上の過体重者または肥満者男女のうち、減量プログラムへの参加希望者228名のベースライン血液サンプルを用いて、血清タウリン値を測定した。血清タウリン値は、肥満に関連する指標(ウエスト周囲径、皮下脂肪面積、総脂肪面積)と有意な負の相関を示した。ウエスト周囲径三分位においても、血清タウリン値は有意な関連を認めた。皮下脂肪面積、総脂肪面積も同様の結果を示し、ヒトにおいても体脂肪が過剰に蓄積した肥満状態ではタウリンの不足状態が生じている可能性が強く示唆された。次に、上記対象者において生体内タウリン合成を表す新たな指標として、タウリンの前駆物質であるシステインよりタウリン比=(血清タウリン/(血清タウリン+血清シスチン×2)を算出し解析した。タウリン比は、肥満関連指標との間により強い負の相関を示し、タウリン合成の指標としての有用性を検討中である。また、動物試験においては、既に作成した白色脂肪組織特異的にタウリン合成系酵素システインジオキシゲナーゼ(CDO)を過剰発現させるトランスジェニックマウス(aライン)の血液サンプルを解析した。通常食摂取下においてはCDOの2-3倍程度の過剰発現では野生型マウスと比べトランスジェクマウスの血清タウリン値は増加しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では最終的に、魚介類に含まれる栄養素であるタウリンと肥満・生活習慣病発症の関連を明らかにする事で、近年の日本における肥満・生活習慣病増加の解決策を見いだす事を目的としているため、動物試験で得られた結果とヒトを対象とした結果が異なる場合には、仮説がなりたたなくなる。初年度において、ヒトにおいても動物試験を支持する結果が得られたことは、今後研究を展開する上で大変有意義であり、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きヒト肥満と血中タウリンの関連を解析し、肥満治療の前後の体脂肪量が減少した場合のタウリン変動を観察することにより、体脂肪量と連動して変化するか否かを明らかにする。また、タウリンを豊富に含む魚介類の摂取量を明らかにし、食事からの影響についても明らかにする。動物試験においては、ヒトにおいても支持されたデータがタウリン合成を介しているのか否かについて、引き続き検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費 60万円血液分析費 50万円実験用消耗品 57万円旅費 15万円
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