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2012 年度 実施状況報告書

肥満・生活習慣病に対する魚介類含有アミノ酸の新規機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23617039
研究機関独立行政法人国立健康・栄養研究所

研究代表者

笠岡 宜代(坪山宜代)  独立行政法人国立健康・栄養研究所, 栄養疫学研究部, 食事摂取基準研究室長 (70321891)

キーワード肥満 / タウリン / ヒスチジン
研究概要

本研究は、マウスと同様に、ヒトにおいても肥満状態において潜在的なタウリン欠乏状態が生じるのか否かを明らかにし、ハイリスク者を抽出するバイオマーカーとしてタウリンやヒスチジン等のアミノ酸が利用可能であるか否かを検討することを目的としている。
昨年度、人間ドックを受診したBMIが25kg/m2以上の過体重者または肥満者男女のうち、減量プログラムへの参加希望者228名のベースライン血液サンプルを用いて、血清タウリン値を測定したところ、血清タウリン値は、肥満に関連する指標と有意な負の相関を示し、ヒトにおいても体脂肪が過剰に蓄積した肥満状態ではタウリンの不足状態が生じている可能性が強く示唆された。
そこで、今年度は、ヒト肥満者における血清タウリンの低下が、生体内のタウリン合成低下によるものなのか、食事からの摂取量の減少等に起因するのかを明らかにするため、対象者の栄養素摂取状況調査の解析を行った。
対象者の食習慣に関する調査(自記式食事歴法質問票(DHQ))結果から、タウリンを豊富に含む7つの食品群(海老・蟹、烏賊・蛸、牡蠣、その他貝類、魚卵、佃煮、塩辛)を抽出し、これら食品群の摂取頻度を解析した。その結果、各食品群の摂取頻度と血清タウリン値に差は認められなかった。
さらに、タウリンは食品成分表に収載されていないために食品中のタウリン含量が推定できない問題点を克服するため、簡易タウリン成分表を独自で開発し、7つの食品群からの推定タウリン摂取量を算出した。その結果、対象者の血清タウリン値と推定されたタウリン摂取量の間に関連は認められなかった。
また、入院治療例も含む高度な肥満患者に対する解析のため、対象者および測定項目等について連携機関と調整を行い、H25年度の解析に向けて体制を整備した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では最終的に、魚介類に含まれる栄養素であるタウリンと肥満・生活習慣病発症の関連を明らかにする事で、近年の日本における肥満・生活習慣病増加の解決策を見いだす事を目的としているため、動物試験で得られた結果とヒトを対象とした結果が異なる場合には、仮説がなりたたなくなる。
初年度、ヒトにおいても動物試験を支持する結果が得られたため、2年目である今年度も、ヒトにおける機序の解析を優先して実施した。その結果、ヒト肥満者における血清タウリンの低下が、栄養素摂取量の増減によるものではないことが明らかとなり、動物実験の結果を更に強く支持することが出来た。最終的な目的から考えても、ヒトにおけるタウリン欠乏状態の解析を進めることが優先的事項であるため、今後研究を展開する上で大変有意義であり、順調に進展している。

今後の研究の推進方策

引き続きヒト肥満と血中タウリンの関連を解析し、肥満治療の前後の体脂肪量が減少した場合のタウリン変動を観察することにより、体脂肪量と連動して変化するか否かを明らかにする。
また、入院治療例も含む高度肥満者においても同様の結果が得られるか検討する。
さらに、バイオマーカーとしてヒスチジンの有用性についても検討する。
動物試験においては、ヒトにおいても支持されたデータがタウリン合成を介しているのか否かについて、引き続き検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

食事調査および解析費 30万円
血液分析費 80万円
人件費 20万円
旅費・会議費 42万円
対象者の食事調査と結果解析をするための費用として使用。血液中アミノ酸測定のための血液分析費として使用。データ入力のための人件費として使用。研究打ち合わせや成果を学会で発表するための旅費として使用。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (4件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Historical overview of the establishment of Dietary Reference Intakes for Japanese,2013

    • 著者名/発表者名
      Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Megumi Tsubota-Utsugi, Eri Imai, Makiko Nakade, Masato Kasuga,
    • 雑誌名

      J Nutr Sci Vitaminol  Supplement

      巻: 59 ページ: s6-s8

  • [雑誌論文] Dietary reference intakes for Japanese 2010: Carbohydrates,2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Yamada, Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Toshinao Goda, Kyoko Saito, Toshikazu Yamanouchi, Tetsuji Yokoyama, Osamu Chonan, Eri Imai, Makiko Nakade, Seiichiro Aoe,
    • 雑誌名

      J Nutr Sci Vitaminol  Supplement

      巻: 59 ページ: s53-s56

  • [雑誌論文] 新たに発生した食品の安全性問題において参照される情報源に関する調査-エコナ油を事例として-2012

    • 著者名/発表者名
      吉本弥生, 笠岡(坪山)宜代, 山口亨,桂木能久,梅垣敬三,
    • 雑誌名

      日本栄養士会雑誌

      巻: 55(9) ページ: 732-741

  • [学会発表] Internet Computersystem by using linear programming for optimum community nutrition, lowcost food combination and recipe to support the dietitian activities on nutritional survey of the Great East Japan Earthquake Disaster

    • 著者名/発表者名
      masatoshi kajimoto, Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka,
    • 学会等名
      International Congress of Nutrition,
    • 発表場所
      Australia
  • [学会発表] The differencesof anthropometric and biological indicatorsby age and sexin healthy Japanese adults

    • 著者名/発表者名
      Eri Imai, Megumi Tsubota-Utsugi, Makiko Nakade, NobuyoTsuboyama-Kasaoka,
    • 学会等名
      第59回日本栄養改善学会
    • 発表場所
      名古屋
  • [学会発表] 食品情報の情報源に関する消費者調査

    • 著者名/発表者名
      吉本弥生、笠岡(坪山)宜代、山口亨、桂木能久、梅垣敬三、
    • 学会等名
      第59回日本栄養改善学会
    • 発表場所
      9名古屋
  • [学会発表] 食品情報の情報源に関する調査

    • 著者名/発表者名
      吉本弥生1)、笠岡(坪山)宜代2)、山口亨1)、桂木能久1)、梅垣敬三
    • 学会等名
      第71回公衆衛生学会
    • 発表場所
      山口
  • [図書] 同文書院2013

    • 著者名/発表者名
      笠岡(坪山)宜代
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      田中平三、中村丁次編著日本栄養学教育学会監修 栄養学概論Capter06管理栄養士・栄養士と栄養実践活動の実際「世界の管理栄養士・栄養士」
  • [図書] 日本臨床栄養協会編  NR・SAテキスト 「第4章 人間栄養学」2013

    • 著者名/発表者名
      高田和子・笠岡(坪山)宜代
    • 総ページ数
      17
    • 出版者
      第一出版
  • [図書] 「第13章 遺伝子と栄養現象」小林修平・山本 茂 編集 人体栄養学の基礎、第二版2012

    • 著者名/発表者名
      笠岡(坪山)宜代
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      建帛社
  • [図書] 「Step3. 栄養介入」. 日本栄養士会編 国際標準化のための栄養ケアプロセス用語マニュアル2012

    • 著者名/発表者名
      笠岡(坪山)宜代
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      第一出版社

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公開日: 2014-07-24  

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