研究課題/領域番号 |
23617039
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
笠岡 宜代(坪山宜代) 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 栄養疫学研究部, 食事摂取基準研究室長 (70321891)
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キーワード | 肥満 / タウリン / ヒスチジン |
研究概要 |
本研究は、マウスと同様に、ヒトにおいても肥満状態において潜在的なタウリン欠乏状態が生じるのか否かを明らかにし、ハイリスク者を抽出するバイオマーカーとしてタウリンやヒスチジン等のアミノ酸が利用可能であるか否かを検討することを目的としている。 昨年度、人間ドックを受診したBMIが25kg/m2以上の過体重者または肥満者男女のうち、減量プログラムへの参加希望者228名のベースライン血液サンプルを用いて、血清タウリン値を測定したところ、血清タウリン値は、肥満に関連する指標と有意な負の相関を示し、ヒトにおいても体脂肪が過剰に蓄積した肥満状態ではタウリンの不足状態が生じている可能性が強く示唆された。 そこで、今年度は、ヒト肥満者における血清タウリンの低下が、生体内のタウリン合成低下によるものなのか、食事からの摂取量の減少等に起因するのかを明らかにするため、対象者の栄養素摂取状況調査の解析を行った。 対象者の食習慣に関する調査(自記式食事歴法質問票(DHQ))結果から、タウリンを豊富に含む7つの食品群(海老・蟹、烏賊・蛸、牡蠣、その他貝類、魚卵、佃煮、塩辛)を抽出し、これら食品群の摂取頻度を解析した。その結果、各食品群の摂取頻度と血清タウリン値に差は認められなかった。 さらに、タウリンは食品成分表に収載されていないために食品中のタウリン含量が推定できない問題点を克服するため、簡易タウリン成分表を独自で開発し、7つの食品群からの推定タウリン摂取量を算出した。その結果、対象者の血清タウリン値と推定されたタウリン摂取量の間に関連は認められなかった。 また、入院治療例も含む高度な肥満患者に対する解析のため、対象者および測定項目等について連携機関と調整を行い、H25年度の解析に向けて体制を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では最終的に、魚介類に含まれる栄養素であるタウリンと肥満・生活習慣病発症の関連を明らかにする事で、近年の日本における肥満・生活習慣病増加の解決策を見いだす事を目的としているため、動物試験で得られた結果とヒトを対象とした結果が異なる場合には、仮説がなりたたなくなる。 初年度、ヒトにおいても動物試験を支持する結果が得られたため、2年目である今年度も、ヒトにおける機序の解析を優先して実施した。その結果、ヒト肥満者における血清タウリンの低下が、栄養素摂取量の増減によるものではないことが明らかとなり、動物実験の結果を更に強く支持することが出来た。最終的な目的から考えても、ヒトにおけるタウリン欠乏状態の解析を進めることが優先的事項であるため、今後研究を展開する上で大変有意義であり、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きヒト肥満と血中タウリンの関連を解析し、肥満治療の前後の体脂肪量が減少した場合のタウリン変動を観察することにより、体脂肪量と連動して変化するか否かを明らかにする。 また、入院治療例も含む高度肥満者においても同様の結果が得られるか検討する。 さらに、バイオマーカーとしてヒスチジンの有用性についても検討する。 動物試験においては、ヒトにおいても支持されたデータがタウリン合成を介しているのか否かについて、引き続き検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
食事調査および解析費 30万円 血液分析費 80万円 人件費 20万円 旅費・会議費 42万円 対象者の食事調査と結果解析をするための費用として使用。血液中アミノ酸測定のための血液分析費として使用。データ入力のための人件費として使用。研究打ち合わせや成果を学会で発表するための旅費として使用。
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