研究課題/領域番号 |
23617040
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮崎 歴 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (70358125)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | サーカディアンリズム / 睡眠 / ストレス / 体温 / 体内時計 / モデル動物 |
研究概要 |
睡眠障害はストレス性疾患、メンタルシンドロームなどで認められ、一日の睡眠覚醒リズムが狂ったパターンを示す。これまでの私たちの研究で体内時計遺伝子Per2のトランスジェニックマウスでは、睡眠時間の短縮や睡眠剥奪のストレスに対して耐性を示す事が観察され、体内時計と睡眠、そしてストレスの間に何らかの関連性が潜んでいるのではないかと考えられた。そこで、我々は一般的な睡眠障害に外挿できるリズム障害を示す動物を作る事が出来ないか試行錯誤し、遺伝的改変を伴わず、実験動物にマイルドなストレスを長期間与える事により、睡眠リズムパターンが乱れるストレス性睡眠障害モデル動物を作成する方法を考案した。作成したモデルマウスでは総活動量がやや低下するとともに、明期暗期ともに活動が見られる行動リズムの乱れが観察され、特に明期前半の過活動が特徴的であった。またこれに連動するように睡眠リズムでも明期前半の睡眠量低下、活動期における睡眠量の増加が認められた。睡眠時間の断片化や睡眠深度の低下も観察された。さらに体温リズムにも影響が及び、睡眠をコントロールする体温による影響が示唆された。ストレス応答によるとみられる交感神経系の亢進やコルチコステロンの高値なども観察され、ストレスによる交感神経系のリズム制御が乱れる事が睡眠障害を引き起こすと示唆された。しかしながら、体内時計遺伝子の発現パターンやフリーラン周期性には影響がほとんど認められない事から、日内リズムを形成する機構と行動や睡眠をむすぶ経路においてストレスが影響して、睡眠リズムや行動リズムの不明瞭化を引き起こすと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で重要な研究インフラの一つの動物飼育実験室の利用が震災後復旧に時間がかかった事、夏期の使用電力量削減の方策として飼育施設が利用できなかった等の問題点が研究遂行上大きな障害とはなったが、秋以降の集中的実験でなんとかカバーする事ができ、一部のデータをまとめて論文投稿にこぎ着けた。また、24年度に予定していたマイクロアレイ実験に関しても前倒しで履行する事が出来ている。
|
今後の研究の推進方策 |
当初予定していたバイオマーカー探索のための実験は既に開始しており、本年度はその検証と有効な分子の洗い出しを優先的に進める。また、バイオマーカー探索の別方法として、メタボロミクスの実験も予定しており、より多岐にわたるマーカー探索を予定している。さらに今年度は、精神疾患との関連性に関しても研究を展開する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|