マウスの水に対する嫌悪感を利用し、回転輪上で飼育する新しいストレス負荷方法(PAWWストレス)を見いだし、日内行動リズム、睡眠リズムおよび体温リズムなどを乱した睡眠障害モデルマウスを作成する系を我々は独自に確立した。 このモデルを活用し、様々な食品成分による睡眠障害への影響評価を行った。乳酸菌Lactobacillus brevisの熱処理死菌はマウスの活動期における日内行動リズムの活性を亢進させる作用があることやD-リボースにはストレス性睡眠障害時においてのみ休息期の睡眠を増加させる効果がある事を見いだした。その一方で睡眠改善効果の提唱されている化学物質の一つや抗酸化作用から様々なストレス応答改善の効果の見られている植物性由来成分などは睡眠や活動リズムには影響が認められなかった。これらの食品素材を用いたスクリーニング系として、睡眠障害モデルマウスが活用できる可能性を示す事が出来た。これらの結果に関しては論文として投稿中、特許として出願準備中である。 また、睡眠障害モデルマウスが精神疾患のモデルマウスとして活用できるかどうかを検証する実験も行った。ショ糖志向性テストや懸尾テストなどでは個体間差の制御をうまく行う事が出来ず、うつ度の判定を下す事は難しかった。しかしながら、不安情動テストのオープンフィールドテストではストレス後の不安度が上昇している傾向が認められた事、またこの不安度はドパミンの投与により軽減する傾向がある結果を得た。
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