研究課題
トレハロース(α-D-グルコピラノシル-(1,1)-α-D-グルコピラノシド)を飲料水を通してマウスに与えて長期間飼育し、加齢指標と寿命を測定した。マウスは当研究所で供給され、飼育条件等が確立されているC57BL/6Jマウスおよび老化促進マウスSAMP10およびSAMR1のオスを使用した。トレハロースはC57BL/6Jマウスでは10ヶ月齢から、SAMP10、SAMR1マウスでは37日齢より2%で与えて、長期間の飼育を行った。C57BL/6Jマウスではトレハロース投与により平均寿命の若干の延伸が見られた。C57BL/6Jマウスでは加齢に伴う尿タンパク質および尿アルブミン漏出の増加がトレハロースにより軽減された。SAMP10マウスの大脳細胞における加齢に伴うユビキチン封入体形成の増加がトレハロースにより低下した。C57BL/6Jマウスを約30ヶ月齢において腎臓を、またSAMP10マウスにおける脳の遺伝子発現をDNAマイクロアレイ解析により測定し、それぞれの若齢マウスと比較した。加齢に伴って発現が増大するが、トレハロース処理によりその増大が抑えられる遺伝子、および加齢に伴って発現が減少するが、トレハロース処理によりその減少が抑えられる遺伝子のリストを作成した。これらの中に老化を制御することが知られているものがないか、またヒトの疾患の原因になるものがないか検討しトレハロースの作用について考察した。
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Journal Aging Research
巻: 2015 ページ: 425261
10.1155/2015/425261
Gerontology
巻: 60 ページ: 138-142
10.1159/000354772