研究課題/領域番号 |
23617042
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
高橋 眞由美 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50133632)
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研究分担者 |
清水 孝彦 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (40301791)
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キーワード | コエンザイムQ / 寿命 / クロック-1遺伝子 / ミトコンドリア機能低下 / 酸素消費量 / 骨格筋 |
研究概要 |
① CoQ量:本研究はclk-1トランスジェニック(Tg)マウスの寿命解析が主な目的であり、その為多くのマウスが必要である。そこで、産出仔の少ないC57BL/6CrSlc(以前CoQ量が少ない事を報告(Nakai et al., 2004)したstrain)に産出仔の多いICR strainを交配して多数の同腹仔を得た。Strainが異なるため、念のため、骨格筋、脳、肝臓でCoQ量を測定した結果、予想に反し、野生型とTgマウスとはCoQ量に有意な差が認められなかった。 ② 寿命解析:野生型及びTgマウスの寿命解析を終了した。寿命曲線をCox-Mantel log rank 法、平均寿命をt検定で解析した結果、雌雄ともに野生型マウスに比べTgマウスは統計学的に有意に寿命が延長した。また、Tgマウスは最長寿命も延長していた。 ③ 骨格筋ATP産生量:昨年報告したように、このTgマウスは野生型に比べ低体重であるにも拘らず、血中IGF-1レベルは野生型と変わりなかった。従って、インシュリンシグナル以外の経路により寿命が延長したと考えられる。またTgマウスの骨格筋ミトコンドリアの酸素消費量が野生型に比べ少ないことを昨年確認しているため、今年度は酸化的リン酸化の最終産物であるATPの産生量を測定した。その結果、Tgマウスの骨格筋は野生型マウスに比べ有意にATP量が少ないことが判った。従ってTgマウスの骨格筋では野生型マウスと同量のCoQを保有しているが、何らかの理由によりミトコンドリア機能が低下し、これが寿命延長の一因となっている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年5月に当センターおよび研究所の施設移転が行われ、動物施設で飼育していたマウスは人工授精によるクリーニングを行ったのち、新施設への搬入が行われた。従って、飼育中のマウスは全て屠殺処分され、予定していた老齢マウスを用いた解析ができなくなった。寿命解析用のマウスのみ業者に飼育委託することで、寿命解析を完了することができた。 屠殺前のマウスから組織を採取、冷凍保存することにより、CoQ量およびATP量の測定を行った。 またH24年度に得られた研究成果については論文にまとめ、Mechanisms of Ageing and Developmentに受理された。
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今後の研究の推進方策 |
昨年より飼育中のマウスが老齢期に達したのち、CoQを飲水投与し、個体レベルの代謝、自発行動量の測定および脳のミトコンドリア機能の詳細について解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年5月に行われた病院及び研究所の施設移転に伴い、飼育していた全て(寿命解析群のマウスは業者に飼育委託し解析を続行した)のマウスが屠殺処分され、老齢マウスが失われた。このため、H25年度は飼育していたマウスから採取した卵子と精子による人工授精により作成したマウスの交配から新たに立ち上げることとなり、予定していた老齢マウスを用いた解析ができなくなった。 昨年より飼育中のマウスが老齢期に達したのち、CoQを飲水投与し、個体レベルの代謝、自発行動量の測定および脳のミトコンドリア呼吸鎖複合体の動態解析を行うため、未使用額はその経費に当てる予定である。
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