放射線腸炎モデルは,ラットの肛門周辺以外を鉛で遮蔽し,5Gx5日間照射し,放射線照射最終日にヒト卵膜由来間葉系幹細胞を100万個投与した.細胞投与後3日に屠殺し効果を検討したところ,PAS染色において粘液産生細胞の低下が細胞投与によって有意に改善されていた.また,いくつかの炎症性サイトカインの発現や,炎症細胞浸潤も改善傾向を示した. また,ラット小腸上皮細胞IEC-6に対して放射線照射を行い,24時間後の死細胞をトリパンブルー染色でカウントしたところ,ヒト卵膜由来間葉系幹細胞で培養した場合に有意に細胞死が抑制された.また,カスパーゼ活性も有意に低下していた.さらに,p21の発現上昇も有意に抑制されていた. 以上のことから,ヒト卵膜由来間葉系幹細胞は,パラクライン効果によって放射線照射による腸上皮のアポトーシスを抑制し,病態を改善することが明らかとなった.
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