研究課題/領域番号 |
23618002
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
竹原 有史 旭川医科大学, 医学部, その他 (90374793)
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研究分担者 |
川辺 淳一 旭川医科大学, 医学部, その他 (10400087)
長谷部 直幸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30192272)
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キーワード | 虚血耐性 / 細胞移植 / 抗酸化 / 炎症 / 血管新生 |
研究概要 |
前年度に樹立されたマウスSca-1陽性心筋幹細胞におけるApe1-Tg系においてApe1遺伝子導入による虚血耐性およびその機序を検討した。in vitroにおけるH2O2負荷では、DsRed単独導入細胞において24.8%のTUNEL陽性細胞が観察されたが、Ape1導入細胞では12.9%に抑制されていた。同条件下での各々の細胞における活性酸素種(ROS)の産生を評価したところ、DsRed単独導入細胞におけるROS産生はApe1導入細胞において有意に抑制された。次にApe1導入細胞を虚血再還流梗塞マウスに細胞移植し、心保護効果とその機序について検討した。虚血作成翌日から28日目にかけプラセボ群では左室駆出率で3.1%の心機能悪化が観察されたが、Ape1群では8.0%の改善効果を認めた。DsRed群では有意差を認めなかった。移植28日目の梗塞サイズではプラセボ群で左心室の16.4%に梗塞巣を認めたが、Ape1群では9.4%と梗塞巣の縮小を認めた。本結果の機序を検討するため、移植細胞のホスト心筋内生着、血管新生、炎症細胞浸潤を評価した。移植7日目においてホスト心筋内における生着率を評価したところ、DsRed群に比しApe1群で2.1倍の有意な生着率向上が確認された。またCD31陽性新生血管数の評価ではDsRed群に比しApe1群で2.8倍の新生血管増生を認めた。一方、炎症性マクロファージの浸潤はDsRed群に比しApe1群で0.35倍に抑制され、組織内IL-1β、IL-6の産生がApe1群で有意に抑制されていた。Ape1遺伝子は虚血時に発生する細胞内ROSを消去することでSca-1陽性心筋幹細胞の虚血耐性を向上させ細胞死を抑制した。そしてAp1導入細胞移植においてホスト心筋内での生着率向上、血管新生、梗塞組織での抗炎症効果により梗塞巣縮小、心機能改善効果が達成された。
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