• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

Gemininタンパク質制御を介した造血幹細胞の活性制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23618008
研究機関広島大学

研究代表者

安永 晋一郎  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (50336111)

研究分担者 瀧原 義宏  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
大野 芳典  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (10548986)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード造血幹細胞 / Geminin / ユビキチン化 / Hox / ポリコーム
研究概要

申請者は、Accell siRNA導入システム(Thermo)を用いて、マウス骨髄細胞においてGemininの一過性ノックダウンを行なうと、コロニー形成能すなわち造血前駆細胞の増殖活性が著しく上昇することを見出した。しかも、このコロニー形成能の上昇は、3回まき直しても維持された(PNAS 2010)。そこで申請者は、レトロウイルスベクターを用いたshRNA導入による恒久的Gemininノックダウンシステムにより、造血幹細胞や造血前駆細胞のGemininの発現を低下させることで造血幹細胞や造血前駆細胞の活性の上昇を導こうと考えた。上記のGemininノックダウンに成功した4種類のsiRNAの配列を参考にオリゴヌクレオチドをデザインし、これらをshRNA導入用のレトロウイルスベクター(pSIREN-RetroQ-ZsGreen, Clontech)に挿入した。このベクターを、レトロウイルスパッケージング細胞であるPlatEにリン酸カルシウム法にて遺伝子導入し、培養上清中のレトロウイルス粒子を回収し遠心濃縮の上、以下の実験に使用した。野生型骨髄細胞に上記Geminin-shRNA導入用レトロウイルスを感染させて、FACSAriaIIによるソーティングにより感染細胞を集め、これをメチルセルロース培地でのコロニー形成能を調べるアッセイに供した。コロニー形成能が上昇する配列をもつshRNAを導入するレトロウイルスベクターに着目して、LTC-IC (long-term culture-initiating cell)コロニー形成能や競合的骨髄再構築能を調べたところ、Gemininノックダウンにより造血前駆細胞のみならず造血幹細胞活性も上昇することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

レトロウイルスベクターを用いたshRNA導入によるGemininの恒久的なノックダウンシステムを確立し、Gemininの発現量を低下させることにより造血前駆細胞や造血幹細胞の活性を増幅させることに成功した。また、Geminin発現のタイムリーな制御を可能にするために、レトロウイルスベクターを用いたGeminin-MER(modified estrogen receptor)発現システムを作成し、Gemininの細胞内局在を変化させることに成功した。しかし、その細胞内局在の変化を反映した細胞活性の変化は未だ検出できておらず課題を残した。

今後の研究の推進方策

前年度に作成したレトロウイルスベクターを用いたGeminin-MER(modified estrogen receptor)発現システムにより変化した細胞内局在を反映した細胞活性の変化を検出する実験系の確立を行う。さらに、造血幹細胞におけるGemininの発現動態を可視化するために作製したGeminin-EYFP(黄色蛍光タンパク質)ノックインマウス由来の造血幹細胞に対して、前年度までに作成したGeminin発現制御系を応用することにより、造血幹細胞の自己複製制御におけるGemininの役割を解明する。具体的には、FACSAriaIIを用いて、ノックインマウスの骨髄細胞を免疫学的表現系から、造血幹細胞、多分化能性造血前駆細胞そして造血前駆細胞に分画し、それぞれの分画におけるGeminin-EYFPの発現強度を調べる。次に、造血幹細胞、多分化能性造血前駆細胞のそれぞれについてGeminin-EYFPの発現強度により亜分画に分けシングルセルソーティングを行ない、それぞれの細胞における造血活性(コロニー形成能、LTC-IC活性、競合的長期骨髄再構築能)やそのコロニー細胞やドナー由来の再構築細胞の性状を免疫細胞染色やフローサイトメトリーで調べ、Gemininの発現と造血幹細胞活性、特に自己複製能との相関を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

研究費の大半は、消耗品費に使用する予定である。具体的には、細胞培養に用いる培地・薬品・プラスティック製消耗品・サイトカイン類、動物飼料、抗体などに使用する。また、1-2回の国内学会での発表を予定しているので、その旅費を計上する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Overexpression of BMI-1 correlates with drug resistance in B-cell lymphoma cells through the stabilization of survivin expression.2012

    • 著者名/発表者名
      Bhattacharyya, J., Mihara, K., Ohtsubo, M., Yasunaga, S., Takei, Y., et al
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 103 ページ: 34-41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Decreased expression in nuclear factor-kB essential modulator due to a novel splice-site mutation causes X-linked ectodermal dysplasia with immunedeficiency.2011

    • 著者名/発表者名
      Karakawa, S., Okada, S., Tsumura, M., Mizoguchi, Y., Hara, K., Ohno, N., Yasunaga, S., Ohtsubo M., et al
    • 雑誌名

      Clin. Immunol.

      巻: 31 ページ: 762-772

    • 査読あり
  • [学会発表] A new strategy for manipulating HSC activity through the modulation of Geminin expression.

    • 著者名/発表者名
      Yasunaga S., Ohno Y., Ohtsubo M., Furutani T., Kawashima A., Tetsuguchi H., Saeki K., Nakashima Y., Takihara Y.
    • 学会等名
      第73回日本血液学会総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2011年10月14-16日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi