研究課題
H23年度までにヒト線維芽細胞とレトロウイルスによる遺伝子導入を用いて、神経幹細胞(diNSC)の直接誘導に成功していた。しかしながらレトロウイルスはゲノムへの遺伝子挿入が起きるために再生医療への応用は不可能であると考えられている。センダイウイルスはゲノムへの遺伝子挿入が無い遺伝子導入が可能で、iPS細胞の樹立では実際に広く活用されている。これまで再生医療への実用化を目指したセンダイウイルスでのヒトdiNSCの作成は成功しておらず、H24年度は遺伝子挿入の無い方法での効率のよいヒトdiNSCの樹立を目指した。同じくゲノムへの遺伝子挿入が無いエピゾーマルプラスミドもしくはセンダイウイルスを用いてヒト線維芽細胞に山中4因子(Oct4,Sox2,Klf4,cMyc)の導入を行い、酸素濃度、化合物の添加、培地に添加する成長因子の各条件に分けて検討を行った。その結果、センダイウイルスを用いて従来よりも高い効率でdiNSCを樹立する方法を確立した。エピゾーマルプラスミドでは培養条件を検討しても十分な数のdiNSCは得られなかった。センダイウイルスを用いて培養条件を最適化した場合、これまでのレトロウイルスを用いた方法よりも効率よくdiNSCを含むニューロスフェアが形成された。しかしながらそれらのスフェアを分化誘導したところ、ニューロンへの分化が極めて遅く、現在のその理由を遺伝子発現およびエピジェネティクス解析により検討している。
2: おおむね順調に進展している
H24年度はH23年度に引き続きヒトdiNSCの培養方法の改良を中心に研究を行った。実績概要に示したように、目標とする成果をあげることが出来た。問題点としてはヒトdiNSCの培養プロトコールがマウスに比べると未だ最適化が完全ではなく、収量、安全性に関して改良の余地はあるため、引き続き改良を続ける。
ヒトdiNSCを安定して誘導できる培養方法を確立する。マウスにおいては比較的安定して細胞を得ることができたが、ヒトの場合はプロトコールの最適化が難しく、低分子化合物や低酸素などの特殊な条件を組み合わせて最適化を行っている。H25年度はより一層高品質なdiNSCを樹立することを目指す。
センダイウイルスベクターの購入、細胞培養試薬一式の購入、低分子化合物、栄養因子などの購入に用いる。安全性の評価に用いる動物の購入、世界幹細胞学会への参加、可能であれば年度内に論文投稿を目指す。未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充当する予定である。
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