研究概要 |
インスリン産生細胞が GFP で標識された、MIP-GFP Tg マウスから膵島を単離し、膵島細胞と外分泌細胞を比重遠心で選別後、膵島細胞は single cell 化した。single cell 化した細胞は、効率よく機能的膵島として再編させることを目的とした(Aim#1)。昨年度最終的な再編膵島細胞収量は、以前報告を行った膵島細胞再編率30%に対し68%と改善するも、残念ながら初期値膵島の100%を超える事はなかった。しかし、驚くべき事に単位膵島DNA当たりのインスリン含有量(タンパク量)は約2倍量存在していた。そのため糖尿病マウスに、通常血糖正常化する膵島数の半数で、再編された膵島を移植し、改善効果を観察したところ正常血糖化する下限膵島数量200個より少ない100個で正常化する事が、本年度 in vivo の実験により明らかとなった。(Aim#1-A)。さらに Serpine1 の効果以外に、新たに膵島細胞再編用の開発した生体内吸収性マテリアルで再編効果を調べたが、残念ながら現在初期値を超える結果を導けなかった(Aim#1-B), (Kodama S., et.al, Materials, 2012, 5(3); 501-11)。本年度は、更に正常血糖化する下限膵島数量の閾値を下げるべく、以前報告した膵島再生を促す、脾臓に由来した遺伝子調節機構 (Kodama S., et al, Science 2003, 302: 1223-7.) に注目し移植部位を腎被膜下から脾内移植へ変更したところ、1/4 の移植膵島個数で生着し、糖尿病マウスの血糖が正常化する事が判明した。その為、現在これらグラフト生着現象の機能解析を急いでいる。少ない移植膵島量で血糖正常化させる移植部位の発見は、臨床膵島移植においても意義が大きいため、Aim#1-C としてこの成果を追加する。
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