研究課題
本研究は、コントロール・オペレータとそれに対応する論理体系の関係を解明することを目指したものである。このためにコントロール・オペレータに対する型システムの構造の検討を行ってきたが、本研究を通じて、コントロール・オペレータの操作的意味に着目し、論理型プログラミングと関係付けることにより、新たな展開が得られる見通しが立ち、それについて研究を行った。具体的には、代表的なコントロール・オペレータであるshift/resetが、非決定性を表現することに着目し、これを論理型プログラミングや関数論理型プログラミング言語における複数解の探索の機能と関係付ける、という新たな対応関係を構築した。Curry-Howard対応が、関数型言語の型システムと論理体系を対応付けるのに対して、本研究で得られた対応関係は、関数型言語の制御機構と論理型言語における解の探索(収集)を対応付けるという点に特徴がある。この対応関係に基づき、関数論理型プログラミング言語Curryの非決定性の機能、非決定性のカプセル化機能を、コントロール・オペレータ shift/resetで表現することを試み、「弱いカプセル化」について、この表現が適切であることを示した。同種の研究は、世界的にも知られておらず、関数型言語と論理型言語(あるいは関数論理型言語)を橋渡しする新たな可能性を切り開くことができた。上記の研究成果について、関数論理型言語の国際会議である WFLPで発表を行い、この新し考え方について国際的に発信した。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
IEICE Transactions on Information and Systems
巻: Vol. E95-D, No. 5 ページ: 1355-1364