研究概要 |
メモリとCPU時間という2種類の資源の,単一のシステム内における配分問題を取り扱うフレームワークのプロトタイプ実装について,取引に用いる等価交換比率のばらつきを減らし,精度を改善することで,誤ってスループットが低下する交換を行う可能性を減らし,より有効なスループット向上を図るものである.そのため,サンプリングした測定値をそのまま等価交換比率とする従来の手法に代えて,移動平均や移動メディアンなどの手法を用いて測定値からより精度よく真の交換比率の推定を行った結果,交換比率のばらつきを削減し,安定した性能が得られることを実験により確かめた.大塚 優樹, 資源配分における等価交換比率の推定精度向上手法,平成24年度情報科学類卒業研究論文, (Mar, 2013)としてまとめた. もう一つの改良手法は,Webサーバの負荷が100%に達しない時でも効用(スループット)の値を適切に取り扱えるよう,スループットの定義として実時間あたりの処理リクエスト数に代えて,CPU時間で正規化した処理リクエスト数を用いたものである.この結果,現在はプロトタイプ実装のオーバーヘッドが大きいため,顕著な性能向上は得られなかったものの,将来オーバーヘッドが低減されれば,適切な資源交換によって低負荷時にも性能向上を得られる可能性をたしかめる結果が得られた.この研究成果は,中森 亮介, 計算資源配分のための性能測定・制御手法, 平成24年度情報科学類卒業研究論文, (Mar, 2013)にまとめた. また,構文解析器においてメモ化を用いてCPU時間とメモリのトレードオフを改善する手法について研究を行い,その成果を以下のとおり発表した. 森永 孝仁, 前田 敦司,山口 喜教,Packrat Parserのメモ化領域の自動調整手法,第92回 情報処理学会プログラミング研究会, (Jan, 2013)
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