メモリとCPU時間という2種類の資源の,単一のシステム内における配分問題を取り扱うフレームワークのプロトタイプ実装について,対象としたプログラムのひとつであるkey-value store (KVS)では,メモリを削減する際に設定ファイルを書き換えてプログラムを停止・再起動する以外に手段がなく,使用メモリ量の削減に大きなオーバーヘッドがかかり,資源最適化による性能向上の効果が相殺されてしまうことから,既存のKVSと互換性があり,メモリ量を削減しても性能上のペナルティの小さいKVS実装を新たに作成した.この成果は,「メモリ使用量を動的に変更可能なKey-Value Storeの開発 」(平成25年度情報科学類卒業研究論文)としてまとめた. また,資源を最適化する際の単位として,プロセス単位あるいは計算機全体を単位とするのではなく,ひとつの計算機内を論理的に区分することによって複数のサーバとして使用するコンテナ仮想化の形態を対象とし,コンテナ間での資源交換によって,コンテナをホストする計算機全体の資源の利用効率を向上させることを目的とした実装を行い,予備的な実験を行った.これに加え,さらにメモリ使用量を動的に変更可能なKVSの開発と合わせて,「コンテナ型仮想環境における計算資源交換に基づく性能最適化」として,第16回プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ(PPL2014)においてポスター発表を行った.
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