研究課題/領域番号 |
23650013
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
八杉 昌宏 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (30273759)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 計算機システム / ハイパフォーマンス・コンピューティング / プログラミング言語 / ソフトウエア開発効率化・安定化 / ディペンダブル・コンピューティング |
研究概要 |
平成23年度は、設計中の汎用性の高い型付中間言語の特色のうち、ビットレベル表現のサポートを中心に進めた。場合依存型という新しい概念と、BDD (二分決定グラフ) を用いた命令列の妥当性確認の枠組みに関して研究を進めた。Lisp 系言語などで使われるfixnum などのサポートが場合分けを利用して行われるようになることを確認しつつ、応用を拡大することを目指して、特に、シフト命令への対応について考察した。BDDに関してはもともと掛け算などの演算では、その規模がコンパクトでなくなるといった問題があり、必ずしも万能ではないが、単純なシフト演算であっても、ビット変数間の関係を表すBDDは、指数乗のサイズとなる問題がある。当初、BDDを拡張する方向で検討を進めたが、考えられた範囲では論理演算を分配することができずうまくいかなかった。そこで、もともとBDDでは、変数順序を管理している点を利用して、その管理方法をシフト命令に合わせて調整するという方法を考案し、検討を進めている。シフト命令は言語処理系の低水準の実装ではよく利用されるため、本研究内容はサポートされる処理系を拡大するのに意義があると考えている。また、依存型などの型システムを使っているが、Curry-Howard対応はどうなっているのか考察する必要があることが、発表時の質問などから分かった。特に場合依存型について位置づけを明確にする必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、MIL の特色のうち、ビットレベル表現のサポートを中心に進めた。場合依存型という新しい概念と、BDD (二分決定グラフ) を用いた命令列の妥当性確認の枠組みにおいて、その応用をある程度拡大することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、必要な部分を継続するとともに、MIL の特色のうち、・正確なごみ集めのサポート、・オブジェクトの初期化(特に循環参照)のサポート、・文字列や配列の一般的取り扱い、など可能なように言語設計を進める。このうち、正確なごみ集めのサポートが最も挑戦的な課題である。これらは互いに関係している部分があるため、適宜、必要なところから研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は重要な国際会議が国内で開催されていたこともあり、次年度に使用する予定の研究費が生じた。当該研究費は翌年度以降に請求する研究費と合わせてより有効に活用して、今後の研究を予定通りに進めるものとし、各種学会への参加等を通して、情報収集に努めるとともに、適宜、中間結果を発表を行い、フィードバックを得る。また必要に応じて開発環境を整備を行う。
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