リコンフィギャラブルシステム向けプログラミングモデルに関する研究に関し,本年度の研究成果は,以下の通りである. 1.プログラミングモデル(並列計算モデル)とプログラミング言語のプロトタイプ実装 昨年度、Java言語からハードウェアを生成する方法について研究成果を報告したが,本年度はさらにそれを発展させ,プラットフォームに依存しない仮想CGRA(粗粒度リコンフィギャラブルアレイ)を構築した.これにより,プログラムとその実行母体であるハードウェアの関係性を整理し,物理的なデバイスアーキテクチャに依存しない方式が確立できた.また,実際のFPGAを用いた評価システムでは,プロセッサ上との互換性を維持したまま,性能向上が可能であることを示した.具体的なアプリケーションとして,CIP法を用いた電磁波伝搬シミュレーションにおいて,ソフトコアプロセッサと比較して速度向上は約860倍,エネルギ消費はほぼ半分を達成し,高いエネルギ効率の方式の構築という本研究の目的は達成できた.これは本年度の研究成果として対外的に発表している. 2.並列モデルの調査・検討 Java言語からの実装結果を受けて,並列性の抽出を既存の方法の再検討し並列計算モデルを再構築した.新しい言語の実現までには至らなかったが,プロトタイプベースのオブジェクト指向言語,関数型言語等を検討し,対象領域を限定した言語,いわゆるDSLの検討を進めた.また,並列処理における動的負荷分散の方式として,反応閾値モデルを用いた制御方式を構築中である.
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