研究課題
最終年度では、前年度までに検討を行ってきた差分法やセルオートマトンの計算アルゴリズムドメイン(AD)の考えを拡張し、メモリから規則的に読み出されたデータストリームに対し連続的にパイプライン処理を行うストリーム計算方式の枠組みの中で、様々なADに適した計算アクセラレーションハードウェア(HW)を記述・生成可能なストリーム処理記述言語(SPD, Stream Processing Description)を提案し、そのコンパイラSPGen (Stream Processor Generator)を開発した。SPDにより記述したストリーム計算HWコードをSPGenによりコンパイルすることで、FPGA上で動作可能な高性能数値計算HWを自動合成することができる。これまで研究を行ってきたLBM流体計算アクセラレータの設計手法に基づきSPGenを設計した。SPGenは、フランスのINRIAにおいて開発されている浮動小数点計算パイプライン生成ツールFloPoCoを利用しながら、SPD言語による数式とHWモジュールライブラリの呼出し記述を基に、単位計算ノードのデータフローグラフ(DFG)を生成し、同期のための遅延モジュールの最適自動挿入を行った上で、FPGAコンパイラで直接合成可能なHW記述言語コード群を生成する。LBM流体計算、およびステンシル計算の2つのADの計算問題をSPDにより記述し、SPGenによりコンパイルを行った。これをFPGAに実装し実機上で動作を確認した。本研究では、高性能計算アルゴリズムの完全なドメイン分類には至らなかったものの、最終的に、ストリーム計算の枠組内での抽象度の高いアーキテクチャ記述からFPGA上で実行可能なHWを実際に自動合成可能なシステムであるSPGenを開発した。これにより、今後の最適ハードウェア生成に関する研究基盤を構築することができた。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件)
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