研究課題/領域番号 |
23650022
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山口 喜教 筑波大学, システム情報系, 教授 (00312827)
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研究分担者 |
前田 敦司 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50293139)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | GPGPU / カーネル結合 |
研究概要 |
本研究は、GPGPUをより汎用的で非定型的な処理へ応用するために、従来のスレッドカーネルではなく、タスクベースの細粒度実行機構を提案し、それによってGPU内および複数のGPU間における処理の負荷を動的にバランスさせる手法に関して研究を行うものである。本年度は、新たに提案したスーパースレッドカーネルという考え方について、その基本的な考え方を整理するとともに、それがどの程度GPGPUの処理に適用できるかについて研究を行った。 具体的には、まず、複数のスレッカーネルドをまとめて1つの大きな仮想的なスレッドカーネルである、スーパースレッドカーネルとして再構成するための方式について研究を行った。これによって、通常のCUDAにおける処理方式に見られるような、CPUとGPU間での不必要なデータ転送を削減することが可能となる。このとき、スーパースレッドカーネル内の細粒度マイクロスレッド同士の間でのデータ転送を最小化するように、複数のスレッドカーネルを選択する必要があり、このための具体的な戦略や評価手法を研究した。スレッドカーネルを結合するための戦略に関して、いくつかの方式を考案し、その効果について実際にGPGPU上で実験を行った。行列積の計算を行うプログラムを題材として、スレッドカーネルの処理の粒度がアンバランスである場合においても、スレッドカーネルを適切に結合することによって、GPGPU内の各ブロックに割り当てられる負荷がバランスすることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スーパースレッドの構築手法と予備評価を行い、本方式の有効性にある程度の見通しを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
スーパースレッドカーネルと外部のタスク制御機構の間で、制御信号をやりとりすることにより、効率的なスレッド実行をサポートする機構を開発する。具体的には、スーパースレッドカーネルの中に、外部のタスク制御機構と通信を行うための小さな制御プログラムを埋め込み、これがスーパースレッド内のマイクロスレッドの起動を制御する機構を開発する。それと同時に、全てのマイクロスレッドからのスレッド終了情報を集め、どのスレッド断片を起動するかを制御するタスク制御機構のメカニズムについて研究を進め、GPGPUの外部から、どのようにすれば効率的な制御が行えるかについて研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
最新のマルチコアプロセッサでの処理と最新のGPGPUでの処理の比較を行うために、最新のマルチコアプロセッサの発売を待ってから機材を購入する方が利点が多いと考えたため、繰越額が生じた。平成24年度の研究費は、23年度の繰越額と合わせて、最新のGPGPUや最新のマルチコアプロセッサを搭載したワークステーションさらにFPGAなどの実験機材を購入し、評価実験を行うために使用する。また、GPGPUやFPGAに関する研究の最新情報を得るために、国際会議や国内会議の参加費用や旅費などに用いる。
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