クラウドコンピューティングにおける可用性と機密性の問題を解決する分散アーカイブ方式として、ランダムにアーカイブ先を決定する方法を提案している。オリジナルデータは多数の断片に分割され、それぞれ冗長性を付与されて、ランダムに選ばれた複数のストレージにアーカイブされる。各断片長が固定で等しい場合、アーカイブ上での断片のオリジナルデータでの位置の特定が確率的に困難であることを見いだしていたが、今回の研究では、断片長もランダムに決定することで、ビットパターンに注目したオリジナルデータの特定も確率的に難しいことを、理論と実験の観点から示した。 理論の観点からは、ASCIIなどの特定の符号化方式に従うランダムデータを仮定して、0ビットと1ビットの出現確率を除いて、オリジナルデータの統計的特徴がアーカイブデータから抽出できないことを確率を用いて示した。 実証実験では、ウェブから実際のデータを数多く取得し、それらのデータを本方式に従ってアーカイブしたデータの統計的特徴を分析し、理論的に導かれた結果が実世界のデータに対しても成り立つことを確認した。 本研究の成果として、2編の論文を論文誌に掲載し、国際学会で1件の発表を行った。また、本アルゴリズムの実装を行い、高速にアーカイブを行うプログラムを作成した。実証実験は、このプログラムを用いて行った。
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