はじめに,前年度に開発した複視点ライブ映像共有のためのプロトタイプをもとに,最新のアンドロイドOS(Android 4.0)を搭載したスマートフォンやカメラ付きタブレットの実機への移植を行うために,ライブ映像共有のシステム基盤におけるデータ圧縮方式を見直し,映像品質の優れた動画像の取り込み及びストリーム配信のためのプログラムコンポーネントを新たに開発した。可逆圧縮により劣化無しで毎秒10フレーム以上の通信速度を有するライブ映像データの共有が可能であることを確認した。 さらに,アンドロイド端末間のアドホックネットワークの形成において,ネットワークインフラとなるアクセスポイントとサーバの設置を前提としないWiFi Direct方式を新たに導入することにより,3台以上のアンドロイド端末相互間での同時接続を実現した。 映像情報の共有機能の実現に加え,期限付きのテキストメッセージの交換を主とするライブ情報の共有においては,アンドロイド以外のOSを有するスマートフォン等に対してまで実装の対象範囲を拡大し,コミュニティに参加する端末間のアドホックネットワークによるすれちがい通信を利用したライブ情報共有システムの開発及び動作実証を行った。 また,アドホックネットワークのコミュニティ参加者が互いに目視可能な近距離範囲内にいる場合を想定し,加速度センサーを内蔵したアンドロイド端末を用いた仮想物体の投げ動作による情報受け渡しのためのシステムを開発し,その有効性の評価のため,一般的なプレゼンテーション環境を想定したライブ空間でのコメント投稿及び複合現実感による情報可視化の動作実証試験を行った。
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