研究課題/領域番号 |
23650043
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 豪 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00323832)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 可視化 / 影 / コンピュータグラフィクス / リアルタイム |
研究概要 |
今日、計算機による数値シミュレーション、各種センサー群による計測から得られるデータは科学、工学の様々な分野において問題解決、分析のための強力な武器となっている。しかしそれら増えつつあるデータに対して的確な把握方法がなければ、データの意味は損われてしまう。本計画では、データ形式として広く用いられる二次元格子の各交点に分布する多次元データに対して、影の影響除去、艶と色の分解、といった人の視覚情報処理能力を利用して、直観的に多次元データを把握できる高速な可視化手法の開発を目的としている。 本年度は高品質な影のリアルタイム生成手法に関して調査を行った結果、従来のリアルタイム影描画に関する手法では、面光源からの照射により生じるような輪郭のぼやけた影(ソフトシャドウ)の生成で、改善の余地があることが判明し、その点について重点的に研究を進めた。従来のソフトシャドウの高速描画方法では物理的な現象と異なった影が生成されてしまい、その結果、視点を移動した際に光源、遮蔽物、投影面の状態を全く変化させなくても影が変形してしまうという問題を抱えていた。この問題に対して射影面と視線のなす角を考慮することでより物理的に正しい影の表現を可能とし、さらに従来法よりも高速化も実現した。 また、表面反射を積極利用したデータ表現についても予備的な実装を行い、光源位置と反射関数に関して検討を行った。 これらについて、国内発表4件(内査読付き1件)、国際会議発表1件を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ひとの視覚的な特性を可視化に利用する本研究では、仮説に基づく刺激としての画像生成が必要となるが、その画像生成のためのコンピュータグラフィックスの技法の開発において新たな効率的な手法を考案できたことは当初の想定よりも良く達成できたと客観的にも高評価できると考えている。一方、物質の反射現象を可視化へ積極利用する試みに関しては、注力すべき点に関してまだぼやけていると考えており、総合的に判断しておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
可視化への光の反射に関する現象の積極的な利用を進める予定であるが、影に関しても遮蔽物、投影面の関係をどのように可視化対象のデータと対応付けるかという点について煮詰めていく必要があり、これらについて具体的にシミュレーションデータに対する可視化を試行していく予定である。なお、次年度使用額の合計欄が0円以外であるのは、新年度すぐに性能が高く、安価な実験機材が発売されるために実験計画をずらしたためである。
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次年度の研究費の使用計画 |
可視化対象となるシミュレーションデータ、データを高速に読み出せるストレージ、可視化を演算するビデオカードなど最終的な評価実験に向けた環境のための購入、評価実験の謝礼、そして、成果報告のための学会発表の費用の使用を計画している。
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