研究課題/領域番号 |
23650043
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 豪 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00323832)
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キーワード | データ可視化 / コンピュータグラフィックス / 影 / 視覚情報処理 |
研究概要 |
今日、計算機による数値シミュレーション、各種センサー群による計測から得られるデータは科学、工学の様々な分野において問題解決、分析のための強力な武器となっている。しかしそれら増えつつあるデータに対して的確な把握方法がなければ、データの意味は損われてしまう。本計画では、データ形式として広く用いられる二次元格子の各交点に分布する多次元データに対して、影の影響除去、艶と色の分解、といった人の視覚情報処理能力を利用して、直観的に多次元データを把握できる高速な可視化手法の開発を目的としている。 本年度は二次元配置された多値データを影と色を用いて可視化する手法の提案ならびに可視化提案手法のみならず一般的に影表現を応用した数値データの提示の有効性を調べるための被験者実験を行った。 提案可視化手法は地の色、陰(シェード)、影の3つの要素を利用した三種類である。一つ目はデータの値に応じた色のついた凹凸面を生成し円柱を設置し、そこに現れる凹凸面の色及び模様と円柱の影によって2変量データの可視化を行う手法、2つ目は色のついた平面に、影と同じ色の変化によってつくる模様を表示し2変量データの可視化を行う手法、3つ目は、1つ目と2つ目の手法で利用した4要素を利用し3変量データの可視化手法である。 被験者実験は可視化提案手法で用いた円柱の影についてデータ可読性に関してのものである。 影表現法の計算式についてや、地の色の分布等、調整項目が多く、4つの実験を設計した。これらの実験結果には有意性のある傾向が見られたため、被験者実験の設計を固めることができたといえ、このことは今年度の大きな成果である。 今年度は国内発表2件、国際会議発表1件を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ひとの視覚的な特性を可視化に利用する本研究では、仮説に基づく刺激としての画像生成が必要となるが、その画像生成のためのコンピュータグラフィックスの技法の開発において新たな効率的な手法を考案できたことは当初の想定よりも良く達成できたと客観的にも高評価できると考えている。 可視化手法として、影を用いた3種の手法の考案及び実装を行い、国内外で発表を行った。 また、可視化手法の被験者実験では、有意性のある結果が得られたことから、被験者実験の設計の正しさについて確証が得られた。これは次年度の被験者実験を行うにあたっての良い成果であった。 総合的に判断しておおよそ計画どおりであり、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
被験者実験の設計が固まったことから、引き続き被験者実験を行い、影を用いた多値データの有効なデータ種の見極め、地と影の最適な組み合わせの決定、影らしさを誘発させるための形状の再評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は被験者実験をさらに行うため、被験者実験のための環境の校正装置、被験者への謝金、ならびにデータ整理費が研究遂行のための費用として計画している。また、成果発表用の費用として、旅費、発表参加費、投稿料などへの使用を計画している。
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