研究課題/領域番号 |
23650043
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
齋藤 豪 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (00323832)
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キーワード | レンダリング / 影表現 / ソフトシャドウ / コンピュータグラフィクス / 可視化 |
研究概要 |
今日、計算機による数値シミュレーション、各種センサー群による計測から得られるデータは科学、工学の様々な分野において問題解決、分析のための強力な武器となっている。しかしそれら増えつつあるデータに対して的確な把握方法がなければ、データの意味は損われてしまう。本計画では、データ形式として広く用いられる二次元格子の各交点に分布する多次元データに対して、影の影響除去、艶と色の分解、といった人の視覚情報処理能力を利用して、直観的に多次元データを把握できる高速な可視化手法の開発を目的としている。 本年度は昨年度までに提案を行ってきた、リアルタイムソフトシャドウに関する新たな手法である Screen Space Anisotropic Blurring Soft Shadows(SSABSS) の完成度をさらに高めることに重点を置いた。得られた成果は国際会議Cyberworlds2013にて採択され発表することができた。本手法は従来手法よりも、描画対象の幾何学的な複雑性に影響を受けないボケた輪郭を持つ影の表示手法であり、また真の影と比較して形状の正確性は劣るものの、対比比較をしなけば、十分正確な形状を作り出すことができる。また、本手法をさらに改良した手法については、論文誌に投稿し採録が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画当初は予定していなった半影部のある影(ソフトシャドウ)の高速表現方法を新規に提案できた点は計画以上の成果である。影表現はコンピュータグラフィクスの研究分野で古くから取り組まれまた現在も活発に研究が行われている課題であり、そこに新規手法を提案できたことは大きな成果であると考えている。 可視化の応用に関しては前年度までに評価実験を行っていたが、今年度は影表現に研究の重点を置いていたため、次年度にさらに綿密な評価実験を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度進めていた評価実験をさらに綿密に行う方針である。影の投影される面の彩度を上げることによっての認識のしやすさに注目して実験を行い、影の利用が可視化においてどの程度有効であるかを検証して行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
採録論文の出版が次年度となり、その支払い請求が次年度となるため。 また、評価実験を継続して行うため、その費用として今年度分を留保したため。 採択論文の出版に関わる支払いを行うこと、被験者実験への協力者への謝金、被験者実験に必要となる機材の更新、学会発表費用として使用する計画である。
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