データ可視化技術から見た計算報道学の体系化と課題抽出

2012 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23650052
• 研究機関: 慶應義塾大学
• 研究代表者: 藤代 一成 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00181347)
• 研究分担者: 高橋 成雄 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (40292619) ; 森 眞一郎 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20243058) ; 小山田 耕二 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (00305294) ; 伊藤 貴之 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 教授 (80401595) ; 奥田 洋司 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90224154) ; 茅 暁陽 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (20283195) ; 竹島 由里子 東北大学, 流体科学研究所, 講師 (20313398)
• キーワード: 計算報道学 / 可視化 / オントロジー / 説明責任 / 出自管理 / 視覚協創学 / 計算フォレンジクス / 法科学可視化

研究概要

本研究課題では，「説明責任を負った事実伝達の視覚方法論を確立する」というデータ可視化の定性的側面に注目し，計算報道学（computational journalism）に焦点を絞って，その体系化とラピドプロトタイピングによる課題抽出を行うことを目的とする．最終年度である本年度の成果は以下の4点に要約できる．
1)2012年5月に京都で開催された第17回計算工学講演会において，「計算可視化の基礎とその応用」と題するオーガナイズドセッションを実施し，本研究の実施者8名による9件の連続講演によって，計算報道学を下支えする視覚協創学（visual synergetics）の役割と価値について，計算工学に従事する研究者や実務家と議論を重ね，その内容を深化させた．
2)実フィールドで採取される大量の半構造映像データを分析し，抽出された抽象的階層構造をベースに効果的にブラウジングを行い，対象世界の世界観を伝達するシステム機能のプロトタイピングを実施した．
3)半構造映像データのブラウジング時に，ビューワの無意識的行動を検出し，興味ある部分データ表示の内容や意匠を適応的に変化させていくシステム機能のプロトタイピングを実施した．
4)計算報道学の実利的応用として，科学犯罪捜査の一層の効率化と信頼性向上を図る計算フォレンジクスの重要な要素技術である法科学可視化(Forensic Visualization）に注目し，出自管理，拡張現実，情動推定という先端的情報学技術を統合し，原告/被告/裁判官/裁判員が個々の立場から第一人称的に鑑識データを視覚分析できる「仮想現場検証環境」の基本構想を取り纏めた．

研究成果

• [雑誌論文] Visual Computingワークショップ2012 (VCWS2012)報告 (2013)
  • 著者名/発表者名: 竹島由里子，藤代一成，他
  • 雑誌名: 画像電子学会誌 巻: 42 ページ: 115-123
• [学会発表] 3×3パネル分割法を用いた環境可視化システム (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐野昂洋，藤代一成
  • 学会等名: Visual Computing/グラフィクスとCAD合同シンポジウム2013
  • 発表場所: 青森
  • 年月日: 20130622-20130623
• [学会発表] Making digital signage adaptive through a genetic algorithm - Utilizing viewers ’involuntary behaviors -
  • 著者名/発表者名: Ken Nagao，Issei Fujishiro
  • 学会等名: VISAPP2013
  • 発表場所: Barcelona (Spain)
• [学会発表] 大規模半構造データの環境可視化
  • 著者名/発表者名: 佐野昂洋，藤代一成
  • 学会等名: 情報処理学会第75回全国大会
  • 発表場所: 東北大学川内キャンパス
• [学会発表] 大規模半構造データに対する環境可視化システムの提案
  • 著者名/発表者名: 佐野昂洋，藤代一成
  • 学会等名: 映像表現・芸術科学フォーラム2013
  • 発表場所: 慶應義塾大学日吉キャンパス
• [学会発表] 視覚協創学(1)：視考支援基盤の目的と構成
  • 著者名/発表者名: 藤代一成，森眞一郎，高橋成雄，伊藤貴之，茅暁陽，小山田耕二，奥田洋司，早瀬敏幸，竹島由里子
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 視覚協創学(2)：可視化出自情報の縮合表示
  • 著者名/発表者名: 瀬下裕介，藤代一成，高山毅，竹島由里子
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 視覚協創学(3)：可視化出自情報の縮合表示
  • 著者名/発表者名: 森眞一郎
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 視覚協創学(4)：微分位相幾何特徴抽出による多次元データの可視化
  • 著者名/発表者名: 高橋成雄，佐伯修
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 視覚協創学(5)：マッピング技術～特に時系列データ可視化技術の体系化に向けて～
  • 著者名/発表者名: 伊藤貴之
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 流体流れ場可視化におけるユーザの視線の利用
  • 著者名/発表者名: 茅暁陽，渡辺大介，小野謙二
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 超克イノベーション：復興を経て価値創造を加速する視覚協創支援環境
  • 著者名/発表者名: 小山田耕二，小木哲朗，清川清，坂本尚久
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 視覚協創学(8)：大規模FEMと可視化の分散データ対話協調
  • 著者名/発表者名: 奥田洋司，宮地英生
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 視覚協創学(9)：視覚協創による血流動態のリアライゼーション
  • 著者名/発表者名: 早瀬敏幸，船本謙一，曾根周作，坂西山河
  • 学会等名: 第17回計算工学講演会
  • 発表場所: 京都
• [学会発表] 計算フォレンジクスの拡張構成要素に関する一考察
  • 著者名/発表者名: 藤代一成，茅暁陽，豊浦正広，杉浦篤志，上田和英
  • 学会等名: 画像電子学会ビジュアルコンピューティングワークショップ2012
  • 発表場所: 秋保温泉
• [図書] 可視化 (2013)
  • 著者名/発表者名: 藤代一成，伊藤貴之，小山田耕二，高橋成雄
  • 総ページ数: 200
  • 出版者: 共立出版
• [備考] 計算報道学のすゝめ
  • URL: http://www.st.keio.ac.jp/learning/1301.html