研究課題
本研究課題の目的は、立体視(3D)コンテンツの表現技術と、3Dによるユーザエクスペリエンス(User Experience:UX)の認知・情緒的な側面を統合し、クオリティ・オブ・ライフ(Quality Of Life:QOL)創出への活用というイノベーションを実現することが目的である。そのマイルストーンとして、(1)3DコンテンツのUXを解明し、その付加価値を理解すること、(2)3Dの付加価値として、QOLの創出効果を計測・検証すること、(3)3Dの効能を、再現性をもって実装可能な制作技術を構築することを設定し、研究課題を推進した。具体的に、本研究課題の推進方法として、UXやQOLに寄与する心理的コンポーネントとして情緒表現に着目し、コンテンツの特徴量との対応付けと制作技術への反映に取り組んだ。初年度の実績として、基礎的な映像刺激に加え、ハリウッドの著名な3Dコンテンツを取り上げ、両眼視差量の分布を中心とした特徴量の分析を行った。分析に際しては、コンテンツ全体を対象としたマクロ分析と、特定個所を抽出したシーン分析の2種類のアプローチを行い、ストーリーテリングとの時系列的な相互作用も考慮して進めた。さらに、コンテンツ内での感情表現を意図したと考えられる(エモーショナル)シーンを対象とした、特徴量の分析も行った。最終年度の実績として、上記のエモーショナルシーンを感情円環モデルと照合し、幸福・驚き・悲しみ・恐怖を表現するための特徴量の操作として、3Dコンテンツで再生される空間の範囲と中心位置の変化の度合いと方向を定量化した。その結果を、2D映像に対して人工的に両眼視差を付加する2D/3D変換技術を用い、評価用の3D映像刺激を作成した。評価実験の結果から、エモーショナルシーンの分析結果に基づいた特徴量の操作を加えることで、覚醒度を強調する効果が得られる可能性があることが分かった。
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SPIE
巻: 8648 ページ: 印刷中
映像情報メディア学会誌
巻: 67(1) ページ: 46-52
電子情報通信学会技術研究報告
巻: Vol.112,No.277 ページ: 13-18