研究課題/領域番号 |
23650058
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
藤田 欣也 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209051)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 力覚 / ウェアラブル / 力覚レンダリング |
研究概要 |
バーチャル物体の手指を用いた直接操作の実現に向け,接線力や法線力などの指先への3自由度の力を疑似提示するウェアラブルなデバイスを試作した.デバイスの指先装着部分の突出厚みは4mmで,1指あたり5個の回転接触子を有する.各接触子は2相PWMによって,指腹に平行な軸周りに断続的に正逆転する.接触子の回転は指腹の受容器を刺激し,誘起される刺激はファントムセンセーションとして1つの振動に融合して知覚される. 各接触子の駆動パルス幅の比を制御することで,ファントムセンセーションの位置と強度を制御し,評価実験を実施した結果,平均方向認知誤差15度程度での振動位置の変化を提示可能であることが確認された.すなわち,強度と位置の制御による3自由度の疑似力覚提示の可能性が示された. 把持物体と他の物体の干渉の認知を支援する力覚レンダリングに関しては,シミュレータ内で把持物体に作用する力からバーチャルカップリング方で外部から加えた力と重力分を引いて加速成分として作用する力を求め,把持物体の質量で割って加速度を求め,さらに指に相当する質量をかけることで,近似的に撃力を算出する方法を考案し,干渉の強調が可能であることと,作業支援効果があることを実験的に確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,指先への接線力と法線力の3自由度を振動の強度と位置によって疑似提示するものであり,当初計画ではボイスコイルによる振動ピンの使用を予定していた.しかし,研究室内での予備試作と実験の結果,せん断力の断続を用いた新たな疑似力覚提示方式の可能性が見いだされたため,方式を変更して試作と実験をおこなった.そのため,業者へのデバイス試作の発注は当初計画より遅れて平成24年度にずれ込んだが,予定した特性が得られる見通しが実験により確認されたことから,上記の自己評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画どおり,振動型の指先疑似力覚提示デバイスの試作を進め,干渉力の方向や大きさの変化の認知を支援する力覚レンダリング法を検討し,仮想環境実験システムを構築して評価実験を実施し,提案手法の有効性を実験的に示す.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究室内での予備試作と実験の結果,新たな疑似力覚提示方式の可能性が見いだされたため,デバイスの方式を変更した.その結果,業者へのデバイス試作発注が当初計画より遅れて平成24年度にずれ込んだため,平成23年度は約88万円の繰り越しとなった.しかし,実験により予定した特性が得られる見通しが立ったため,当初計画で24年度に予定していた追加分も併せて,3自由度疑似力覚提示デバイスの試作を業者に依頼する予定である. その他は,ほぼ当初計画のとおり,試作デバイスを用いて実験を実施するための周辺回路の制作費や実験用計算機,実験補助者謝金,得られた成果を学会発表するための旅費,参加費,英文校正料および投稿論文掲載料に充当する.
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