本研究は、画面単位であった視線分析を、コンテンツ領域単位で情報構造に対応した分析可能とするのが目的である。コンテンツと対応付けた定量分析が可能となれば、デザイン改善などでアイトラッキング技術を飛躍的に容易に活用可能となる。具体的目標を1.視線位置のコンテンツをHTMLおよびCSSを解析することで領域単位で特定する技術の開発、2.画面の遷移状態を特定する技術の開発、3.領域単位の視線情報を用いた分析結果の可視化の提案、4.開発技術のユーザビリティ評価への利用を行った効果検証の4つとした。 平成23年度は簡易非接触アイカメラを用いて目標1・2を実施した。視線分析ツールの実装を行うことで、インターネットエクスプローラと同等のブラウザで視線座標位置のHTML情報を取得し、具体的目標1のためのHTML要素、CSSに対応したclass、id属性を解析すると共に、目標2のための画面遷移状態を特定するログ取得を可能とした。また、構造の異なるウェブサイトを対象にタグレベルの利用方法を検討した。その結果、目的に応じてタグのレベルを相対的に設定可能とする必要があることが分かった。 平成24年度は目標3・4を実施した。複数のページで構成されるCSSを用いたサイトのうち、コンテンツマネジメントシステムを用いたサイトを分類し30サイトのHTMLを解析した。また、ユーザテストにおいて視線分析を活用する方法を検討した。その結果ナビゲーションがウェブでは重要であり、メニュー領域およびページ遷移を元にユーザテスト時の特徴的部分を把握可能とする可視化がインタビュー時に有効であるとわかった。目標4については、ウェブに加えて組込みGUIのユーザビリティ評価利用も検討した。事例として複合機のUIをHTMLで作成することを検討し、プロトタイプ設計ルールをまとめた。
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