熟達度評価に必要な模擬技能実験環境の改良:技能検証用手術体験標準モデルを2例作成し、特定の技能を構成している技能の構造について体系化した。その役割に対する模擬技能訓練装置を構成しているデバイス毎の性能と機能項目とその性能を対応付けた。それを基に、技能の熟達者と医学生に対して模擬技能訓練装置を利用したのちに模擬の役割が達せられたかどうかの調査を行い、模擬技能訓練装置の性能機能の改善点として操作ディバイスの軌道解析ができる機能を追加した。この評価法を基に、模擬技能訓練装置の訓練装置としての妥当性に関する評価法として操作中の軌道データ及び正常組織への接触の有無、操作時間の解析が可能なシステムを改良した。初年度の問題からさらに複雑な問題を模擬技能訓練装置上に作成と術者の反応時間の計測技術の改良等を行った。特に複雑な問題として脳動脈瘤のクリッピング手術の中で正常脳に接触せずにクリップを脳動脈瘤にかける課題を作成した。脳と脳血管と脳動脈瘤は匿名処理後のMRIあるいはCT画像から脳幹部のモデルを作成しvariationやanomalyの例を増やし,熟練者の経験や知識に基づいて課題となる空間を設定した。上記の課題に対して被験者19名(一般学生7名、一般人1名、医学生7名、脳神経外科専門医4名)に課題を施行した。その中で医学生と脳神経外科専門医における軌道解析を行った結果、軌道の乱れが医学生では多く、脳神経外科医では少ない傾向があることが示唆された。また、操作時間も脳神経外科医の場合には5回施行した施行時間の変動が少なく、医学生の場合には変動が大きいことが示唆された。課題施行時の正常脳へのディバイスの接触率も医学生で多い傾向が示唆された。施行中の脳波を測定できたのは脳神経外科医1名、医学生2名、一般学生4名、一般人1名であった。本研究の関連特許を2件を申請した。
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