本研究の目的は、適応的熟達化の促進要因である1)下位技能の習熟、2)適切な問題解決のための知識の獲得、3)適切な評価基準の獲得を明らかにすることとした。手術教育用シミュレータを用いて、専門医4名と医学生6名を対象に脳動脈瘤のクリッピング操作を課題とし、両手の操作ディバイスの軌道、操作時間、正常脳への接触割合、脳波を測定し、手術シミュレーションに関する理解度を評価するアンケートを行った。専門医の場合には施行時間の変動が少なく、医学生の場合には変動が大きかった。医学生は課題施行時の正常脳へのディバイスの接触率(エラー発生頻度)が脳外科医よりも多かったが統計学的有意差は認められなかった。
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