研究課題/領域番号 |
23650073
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横尾 真 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (20380678)
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研究分担者 |
岩崎 敦 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (30380679)
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キーワード | ゲーム理論 / 最適化 / メカニズムデザイン / オークション / 架空名義操作 |
研究概要 |
本研究では自動メカニズム設計と発見科学における法則発見の技術を組み合わせることにより,小規模な(部分)問題に対する自動メカニズム設計と,得られた結果からの法則発見を繰り返し実行し,大規模な問題に適用可能なルールを自動設計する方法を開発することを目的とする.ある環境に存在する人間の集団に対して,集団としての意思決定のルール/メカニズムを導入すると,何らかの社会的な結果が得られる.望ましい結果を得るためのメカニズムの設計方法に関する研究はメカニズム/制度設計と呼ばれ,ゲーム理論/ミクロ経済学の一分野として活発な研究が行われている.従来のメカニズム設計は人手によって行われてきたが,近年,メカニズム設計を最適化問題として定式化し,整数計画法を用いてメカニズムを自動設計するアイデアが提案されている.しかし,整数計画法を用いた自動メカニズム設計では表の項目数/変数の数は参加者数に関して指数的に増加し,ごく小規模な問題にしか対応できない.また,得られた結果を人手で解析し一般的なルールを得ることは非常に困難となる. そこで本研究では,自動メカニズム設計の結果から,望ましい性質を満たすメカニズムのルールを自動的に抽出するアルゴリズムを開発した.この結果,代表的な架空名義操作の影響を受けないメカニズムである適応的留保価格メカニズムの抽出に成功し,情報科学技術フォーラムに発表し,その最優秀論文賞である船井ベストペーパー賞を受賞した.さらに,連続的な関数で,自動メカニズム設計の出力表を表し,メカニズムのルールを直接求める手法を提案した.ここでは候補となるメカニズムの集合は多項式の集合,つまり各メカニズムが多項式集合のパラメータによって表現される.この結果,様々な制約条件を満たすメカニズムの集合が,多項式族のパラメータの実行可能領域とでき,メカニズムのルール抽出をより容易になることを明らかにした.
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