平成25年度は、ぶれを含む画像について、運動推定により得られたパラメータを用いてぶれ補正を行う手法を、回転や奥行き方向への動きにも拡張し、ぶれのない復元画像を得られるようにした。さらに、動画像のフレームレートを変えて、運動推定とぶれ補正を行うシミュレーション実験を行い、トラッキング性能と復元精度のトレードオフについて調査した。実験の結果、フレームレートが低いと、ノイズは低減されるが、画像にはややぶれが残る。フレームレートが大きいと、画像はよりシャープになるが、ノイズは増える傾向となった。PSNRの評価尺度での最適フレームレートは、画像に付加されるノイズの量によって変わり、ノイズは多くなるほど最適フレームレートが低くなることが分かった。 さらに実画像を用いた実験を行い、回転運動を含む対象について、ぶれ補正によりぶれのない復元画像を得ることができた。また、このときのノイズ量と対象の運動速度に対する相対フレームレートが、シミュレーションにおける最適フレームレートの値とほぼ同じであることが確かめられた。 このほか、画像の事前分布を導入することによるトラッキング性能の変化について調査したが、事前分布を導入してもトラッキング性能は変わらないかむしろ悪化することがわかった。一方、画像復元においては事前分布の導入が復元画像のノイズを減らし、画質を改善することが分かった。
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