研究課題/領域番号 |
23650085
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 公俊 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00521254)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 物体ハンドリング / 単純構成ハンド / センサ情報処理 |
研究概要 |
本年度の活動では,二本指のような単純な構成のロボットハンドで道具操作を行うことを目的として,主に「センサ情報処理による知識化」に関する以下の項目について研究を行った.(1)人の道具操作の様子を視覚センサにより観測し,そこから物の掴み方や操作軌道を抽出する方法,(2)人の手による物体の掴み方を,二本指のハンドの掴み方にマッピングする方式,(3)道具などの操作対象における重畳・随伴関係のモデル化と,それに基づく操作中の物体追跡. このうち(1),(2)においては,カラー画像と深度情報が得られるセンサをロボットの頭部に搭載し,対面した人間の操作行動を観測する方式を取った.日常的に行われるいくつかの物体操作や道具操作行動をロボットに観測させ,センサ情報処理によってロボットハンドによる掴み方へ変換することに成功した.そこでは,片手による操作のみならず,トレイ運搬やコップへの飲料注ぎなど,両手による物体操作も含めた.このようにして得た知識を用いて,実際のロボットによる道具操作が可能なことを実機実験によって示した.(3)については,操作されている物体の位置関係をより明確に記述するためのモデルとして,重畳・随伴関係を陽に考慮した手法を提案した.また,そのモデルを用いた物体追跡の手法を提案・実装した.実際の動画像に対してこの追跡手法が有効に機能することを確かめた.そして,重なり関係がわかっているからこそ達成できる行動を例として挙げて,実ロボットでその動作が再現できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
視覚情報を用いるアプローチについては,人の道具操作を観測するシステムの構築と,それを用いたセンサ情報の収集,センサ情報の知識化などで成果があった.これらの成果が実ロボットを用いた実験によって示されたことも含めて,当初の予定以上の進展があったと考える.一方で,触覚センサを用いるアプローチについては,センサシステムの整備が終了し,データ取得と考察を行っている段階である.少々の遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度,視覚センサの利用によって達成した物体操作の器用さをさらに高めるべく,引き続き研究を進める.それに合わせ,これまで利用していたロボットハンドの改良と,道具操作のための動作制御を行う.一方で,触覚センサによるデータ取得とセンサ情報処理の研究を早急に進める.そして,視覚側で得た知見と触覚側で得た知見を組み合わせることで,一つの物体操作知識を表現する方式を研究する.その知識を利用して,器用な道具操作を行う最終実験を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
主として,ロボットハンドの改修費,接触センサの購入費・修理費として使用する.また,研究成果の発表を行うための会議費や論文投稿費として使用する.
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