本年度もぼけたパターンの認識に注力した。過去2年間で、従来手法では認識できないほどひどくぼけたパターンが認識できる手法を提案し、さらにその高速化も実現したが、これらの手法は認識対象パターンの大きさ(スケール)が既知であることを前提としていた。実際のカメラで撮影した場合、カメラから認識対象パターンまでの距離に応じてパターンの見かけの大きさが変化するため、前述の前提がある限り実用化は難しい。 そこで今年度はこの制限を取り払うために、認識対象パターンのスケール変化を許容する手法を提案した。この手法は、局所特徴量と呼ばれる特徴量を用いる。局所特徴量とは、画像の一部分のみから計算される特徴量であり、物体認識によく用いられる。局所特徴量の配置を利用して文字認識を実現する手法(松田らの手法)を研究代表者の岩村らが提案しており、これをぼけたパターンの認識問題に適用した。 文字と標識に対して行った実験の結果、我々が提案した従来手法と同様に、ひどくぼけたパターンを高い精度で認識することができた。さらに、従来手法とは異なり、スケールが変化した場合でも頑健に認識することが確認できた。また、符号化開口を用いないで松田らの手法を使用した場合と比較すると、符号化開口を用いることで程度の大きなぼけに対する認識性能が大きく異なっており、提案手法の優位性が確認できた。 この成果はIPSJ Transactions on Computer Vision and Applications (CVA)に掲載されることとなった。
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