研究課題/領域番号 |
23650096
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
三浦 純 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90219585)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ロボット教示 / 動作推定 / ヒューマノイドロボット / 作業モデル |
研究概要 |
超高齢社会の到来に伴い,生活の質を維持するためのサービスロボットへの期待が高まっている.ロボットが様々な作業を行うための知識をすべて与えておくことは困難なので,現場での教示が不可欠である.本研究では,日常作業を行う際の動作を簡便かつ直観的に教示できる無拘束ポータブルインタフェースの実現を目的とし,今年度は以下の研究を行った.(1)体の動きと手の動きの同時推定:ユーザの装着したカメラと慣性センサのデータを用いて,体の動きと手の動きを拡張カルマンフィルタで同時推定する手法を開発した.また,アルゴリズムの高速化を図り,40点程度の画像特徴点を43ms程度の周期で追跡し,運動推定することが可能となった.(2)物体認識アルゴリズムの開発:作業の認識には,手の動きの認識とともに対象物体の認識が必要である.そこで,距離センサおよびカメラを用いて机上の物体の識別と位置推定を行うプログラムを開発した.物体表面上の模様を用いる場合には,隠蔽によって部分的に隠されていても安定して認識および位置姿勢推定ができることを確かめた.(3)ロボット制御基礎実験:推定した体と手の動きをロボットの動作命令に変換することにより,車輪移動型ヒューマノイドロボットを人間と同じように動作させることができた.6自由度の腕を2つ持ち,全方向移動型メカニズムにより自由に移動できるヒューマノイドロボットシステムを構築し,腕の動作,物体の把持や運搬,任意の方向への移動を実現するためのソフトウェアを整備し,命令を送るだけで簡単に動作できるようにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の達成度について,個々の項目に対する状況は以下のとおりである.・運動推定については,片手の推定ではあるが,体の動きと手の動きの同時推定(次年度項目)を実現した.両手の推定は現在遂行中である.・対象物と手の状態認識について,対象物の認識および位置姿勢推定については十分な能力を持つ手法が実現した.手の状態認識は現在遂行中である.・ロボット制御基礎実験について,ヒューマノイドロボットへの体や手の動作の直接教示は実現した.物体操作を含む作業の教示については,作業用双腕ヒューマノイドロボットシステムにおいて基本操作スキルや動作指示のためのソフトウェアは完成し,現在基礎的な教示実験を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は以下の項目で研究を推進する.(1)作業における手の動作の認識:対象物の認識結果や手の動きの情報から,手の動作を認識する手法を開発する.そのために,典型的な動作のモデルを構築し,動作認識に利用する.ピックアンドプレース動作や簡単な機器操作(ボタンを押す,など)を対象としてモデル化と実験を行う.(2)教示動作のモデル化による意図推定:教示行動を,動作を直接的に指定するものと,対象物を指さすなど間接的に指示するものとに分類し,一連の作業の教示でどちらがどのような状況で利用されるかのモデルを作り,それを用いて信頼性高く教示動作の意図を推定する手法を開発する.手の動きだけでなく移動も教示できることから,複数個所で動作を行うような作業も対象とする.(3)安全な教示のため,画像情報や接触情報をフィードバックする機器および手法を検討する.ロボットに設置したカメラ情報を装着型ディスプレイに表示する方法や,物体への接近情報を手首等に装着した接触感ディスプレイへ表示する方法などを検討する.(4)自由にロボットに作業や動作を教示する実験を行い,手法の評価・改良を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
機械・電子部品 約450千円センサ情報処理用PC 約200千円調査研究・成果発表旅費 約500千円
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