研究課題
本研究では,カエルの合唱機構の解明を通じた,音楽ロボットと人との創発的な合奏協調の実現を目指し,ロボットへの合奏協調機構の実装と,音光変換装置「カエルホタル」による実環境でのカエルの合唱機構の解明に取り組んだ.具体的な成果は以下の通り.(1)共演者ロボットの合奏協調機構の開発:①ギター演奏の視聴覚情報統合によるビート追跡機構をnon-parametric Bayesで改良し,さらに複数のビート追跡機構を統合して各種ビートパターンに頑健な追跡法を開発し,ロボット聴覚ソフトウエアHARKに組み込んだ (HARK-MUSIC).②カエルの合唱にリーダ度を導入し,カエルの合唱でのリーダの同定機構を開発するとともに,人の合奏にも応用し,人間とロボットとの合奏にリーダ度を導入し,自動的にリーダ度を求め,リーダ度が最も高いパートにロボットが演奏を合わせる手法を開発.その結果,安定した合奏が実現できた.(2)カエルホタルによる実環境でのカエルの合唱機構の解明:③京大農場での実地観測で,別々の入力信号帯域に応答する2つのLEDを持つ新型カエルホタルが日本アマガエルとシュレーゲルの合唱の同時観測に成功.④隠岐島と豪州ゴールドコーストでの実地観測で,新型カエルホタルを用いて2種類のカエルの合唱の同時観察に成功.さらに,豪州の大型アマガエルに対して「メスにLEDを載せてカエルホタルと同時録画する実験」を行い,合唱に加えてメスの行動についても観測に成功した.今後,データを解析し,論文投稿を行う予定である.以上の成果は,国際会議基調講演,章分担,複数の国際会議発表に加え,スーパーハイスクール奈良高校でのデモをはじめとするアウトリーチ活動に取り組んだ.また,昨年度掲載された「カエルホタル」の論文は,Animal Behavior 誌60周年記念エッセイに「重要な技術」として引用された.
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://winnie.kuis.kyoto-u.ac.jp/members/okuno/Invitation-Okuno-Lab.html