研究課題/領域番号 |
23650101
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤江 正克 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339716)
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研究分担者 |
小林 洋 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (50424817)
渡辺 広樹 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (00609266)
橋爪 誠 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90198664)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 手術支援ロボット / 単孔式手術 / BMI / 知的制御 / 遠隔システム |
研究概要 |
(1)術具マニピュレータの多自由度化これまでに開発したプロトタイプロボットについて,「本機構の小型化」と「本機構を多段に配置することによる多自由度化」を実施した.具体的には,術具マニピュレータは左腕を鉗子用,右腕を電気メス等の処置具用とした.自由度構成は,医師の術中の手の動きを再現するため,片腕で6自由度(+把持1自由度)とした.また,内視鏡マニピュレータの先端部が屈曲している状態でも摩擦の影響を抑えて動力伝達を行うため,フレキシブルシャフトとねじを組み合わせた動力伝達機構を採用した.ロボット駆動に一般的に用いられるワイヤ駆動と比較した際に,バックドライバビリティが非常に小さく,術具先端に与えられる負荷が駆動部に影響しにくいことから従来と比較し位置精度の向上が可能となった(2)マスタロボットの開発双腕術具マニピュレータおよび視点変更の双方を,直観的かつ持ち替えることなく操作することが可能な,一体型のマスタロボットを開発した.具体的には従来からマスタマニピュレータとして使用していたPHANTOM Omniを片腕につき2台,双腕で計4台使用することで、低コストかつ開発期間の短縮を可能にした。本マスタマニピュレータは片腕7自由度(双腕14自由度)を有し,そのうち6自由度を能動的に制御可能である.片腕の自由度構成はPHANTOM Omni2台で位置3自由度,姿勢2自由度の合計5自由度,小型モータを用いて姿勢1自由度を制御する.小型モータはMAXON製RE 10(12[V],1.5[W])を用い,バックドライバビリティを確保するため減速比を16:1とした.また,術具鉗子の把持制御のため小型エンコーダ(SES-10-200)を用いて把持用の1自由度を追加した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に実施予定であった術具マニピュレータの多自由度化,マスタロボットの開発が順調に終了し,平成24年度に予定している認知科学を用いたスレイブロボットの評価・改良,およびBMIを有する操作システムの開発に移行することが可能な状態にあるため
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今後の研究の推進方策 |
(1)認知科学を用いたスレイブロボットの評価・改良H23年度に完成させた術具マニピュレータを視点操作マニピュレータに統合し,スレイブロボットを完成させる.統合時には,仮想空間上に構築したスレイブシミュレータを用いた試験を実施しながら,内視鏡と術具マニピュレータの位置関係を決定する.この際,スレイブロボットを定量的に評価するため,脳計測装置(NIRS等)を用いた脳内活動計測を行う.ヒトの"慣れ"や"直感性"との相関性が高いことが示唆されている,脳の頭頂間溝(IPS)の活動を計測することで,スレイブロボットの操作性を評価する.(2)BMIを有する操作システムの開発現在車いすの制御等で研究が進んでいる,脳活動計測を規範とした情報処理技術を利用して,考えるだけで視点を操作するBMIを有する操作系を開発する.術具マニピュレータの操作には,申請者らが先行研究において開発済みのマスタロボットを利用する.本研究においては,BMIにおける意図推定アルゴリズムは既存技術を用いることで,研究の迅速化を図る.マスタロボットを用いた術具マニピュレータを操作した時に生じるBMIへの影響を測定し,干渉が大きい場合には,意図推定アルゴリズムの改良を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の主な実施事項はロボットの改良及びその評価であり,改良のための加工品費,要素部品費,評価実験系構築費等に費用を使う予定である.また,九州大学と連携して研究を行うため,旅費にも費用を充てる
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