研究課題/領域番号 |
23650104
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
久野 節二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70136216)
|
研究分担者 |
尾崎 繁 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60292546)
首藤 文洋 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10326837)
岩本 義輝 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50184908)
|
キーワード | 嗅覚 / 体性感覚 / 教示効果 |
研究概要 |
ヒト被験者実験:昨年度実験の温度刺激提示方式の問題点を検討し、被験者が温かいと感じた時点で提示温度を0.1℃の精度で計測可能な改良システムを小型ペルチェ素子とタイムラグの少ない熱電対素子を用いて開発した。被験者は健康成人10名(20歳代、男女各5名)であった。まず、匂いの種類の教示なしの条件で、空気提示に続いて匂い刺激(ヒノキ香料、切削レモン、スペアミント抽出液の順に各刺激間に空気をはさんで提示)を提示し、匂い受容が直感的温度感覚を変えるかどうかを検討した。左手首から約10 cm近位の前腕屈側面が触れる温度提示アルミナ板の温度を、空気提示および匂い提示開始時の22℃から徐々に上げ、被験者が温かいと感じた時点で、右手でボタンを押してもらい、その時のアルミナ板温度を記録した。また、試行後に受容した匂いの印象をアンケート調査した。ほとんどの被験者で温かいと感じる直感的温度が空気提示と匂い提示で異なること、特にこの傾向がレモン香とスペアミント香で強いことが分かった。現在、提示された匂いに対する被験者の嗅覚印象イメージ(何の匂い、どのような匂いなど)と直感的温度との関連性を解析し、他者からの教示と同じように、自己の嗅覚イメージ形成が温度感覚に影響する可能性を検討している。 モデル動物実験:昨年度作成した温度提示装置を用いて、情動発現に与える感覚受容の効果について、ストレス状態のラットを対象に35℃の環境下に局所性(前肢皮膚)低温(10℃)刺激を提示し、ストレス応答に関わる視床下部ニューロン活動を対照群(35℃提示)と比較した。局所性低温受容によりストレスで興奮したニューロン数の減少が確認され、情動発現に与える低温刺激受容の効果が示唆された。現在は、嗅覚と体性感覚のクロスモーダル実験として皮膚への低温刺激に変えて、スペアミントによる冷感嗅覚刺激受容の効果の検討を進めている。
|