研究課題/領域番号 |
23650106
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
生田目 美紀 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (20320624)
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研究分担者 |
佐藤 正幸 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (50222021)
永盛 祐介 筑波技術大学, 産業技術学部, 助教 (70553931)
楠 房子 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (40192025)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 感覚モダリティ / オノマトペ / 聴覚 / 視覚 / 振動 |
研究概要 |
本研究では,聴覚を中心とした感覚モダリティと感性情報処理活動の関係を明らかにすることを試みるため,音声情報に振動や視覚情報を追加した場合のオノマトペの解釈の違い等を聴覚障害者と健聴者の聴覚経験の違いで比較検討することを目的としている.そのため,聴覚障害者の残存聴力に着目しながら,擬音語・擬声語・擬態語・擬様語・擬情語といったオノマトペの種類との関係について,事前調査にかけるコンテンツを制作した.制作した視覚的コンテンツは,文字を利用したもの,ジェスチャーを利用した映像,状況説明のあるアニメーションの3種類である.これらのコンテンツから1つに絞り,音情報と振動情報を追加して完成させる計画であった.しかし,事前調査のために国立特別支援教育総合研究所へ出向き,視覚的コンテンツを全国聾学校から研修に来ていた聾学校の先生方に見せ,専門的知見からアドバイスをいただいた結果,改良が必要になり,改良作業が発生した.今後調査にかけるオノマトペは「雨の音」や「風の音」など,実際に音もあり,視覚的にも体感的にも状況を理解できるものを取り上げることとなった.聴覚障害児と日々接している教員からの現実的な意見は大変意義のあるものであり,将来,本研究が聴覚障害児教育への役立つ教材となる可能性が示唆された.この事前調査のステップは,当初は計画してはいなかったが、研究目的を達成するために非常に重要な過程であったと確信する.また,工学院大学椎塚先生,筑波大学久野先生との研究交流を行い,聴覚障害者に高齢者を含めるというアイディアを頂戴し,現在その方向での調整も開始している.研究成果は,工学院大学において,平成23年11月26日(土)に開催された,日本感性工学会「あいまいと感性・感性脳機能」ジョイント・ワークショップ にて発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
正確な結果を出すために,自作で3種類の視覚的コンテンツを作成して事前調査およびヒアリングを行った.試行錯誤が必要であったため,自作で作業を行った.そのため,経費はかからなかったが時間がかかってしまった.しかし,方向性を見極める事ができ,改良の方向性も明確になった.視覚的コンテンツが完成しないと音情報と振動情報を入れる事ができないため,作業としてはやや遅れているが、この遅れは正確な結果を得るために必要不可欠な研究上の改良作業である.当初の計画通り,平成24年度はアンケート調査を実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後の作業内容については,共同研究者に依頼済みであり,計画通り翌年度に調査を実施できる予定である.今回追加修正する視覚的コンテンツは,視覚に依存している聴覚障害者がリアリティを持って理解できる映像を制作するとともに,言葉から音象徴を持てるようになるための文字アニメーションの制作を計画している.これらの制作は多摩美術大学楠教授に依頼済みである.音情報の音源については,上記映像とともに録音するだけでなく,より良い音源の確保のために,音データベースの購入も計画している.振動情報は音を振動に変化させる振動装置を購入する.振動装置はできるだけコンパクトで誰もが使用可能なものとし,アンケート調査に協力してもらえる協力校に貸し出せるように工夫する.アンケート調査は10月を目標にWEBアンケートを計画している.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,当初計画していなかった事前調査とヒアリングを行った結果,制作すべき実験用コンテンツに変更が生じる事になり,実験準備の計画を大幅に変更せざるを得なくなった.この変更は研究遂行上,必要な変更であった.今年度,事前調査用コンテンツを内部制作で経費をかけずにすすめたことにより,翌年度の作業は短期雇用を行い集中的に短時間ですすめる事が可能である.翌年度は,調査の中心になる視覚的コンテンツの制作の為に,多摩美術大学で短期雇用を行うための経費を配分する.物品費としては,より良い音源確保のために音データベースの購入と,音を振動に変換する振動装置を購入する計画である.コンテンツが完成したらWEBアンケートを実施する計画である.ただし,聴覚体験の違いを探るための被験者として高齢者を含める場合は,WEBアンケートでは不可能なので,調査票を印刷するための費用や現地に出向いて調査するための旅費が必要になるので,調査票アンケートを想定した予算計画を行う.調査用コンテンツが完成した時点で研究発表と研究交流活動を行う予定である.
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